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THE BEATLES · 1967
1967年、ロンドンのアビイ・ロード・スタジオで録音された「A Day in the Life」は、新聞記事の断片と未完成の朝のスケッチが衝突するように縫い合わされ、40人のオーケストラによる轟音と、宇宙が閉じるような一音のピアノで終わる。これは単なる楽曲ではなく、20世紀後半の…
NIRVANA · 1989
1989年、グランジという言葉がまだ確立されていなかった時代に、カート・コバーンはビートルズに憧れて、たった一晩でこの曲を書き上げた。デビューアルバム『Bleach』の中で異質な甘さと哀しさを放つこのバラードは、後にMTVアンプラグドで歴史的な意味を持つ瞬間として蘇る。「彼女につ…
JIMI HENDRIX · 1968
ボブ・ディランが2分半の聖書的寓話としてざらりと書きつけた小品を、ジミ・ヘンドリックスはわずか半年後、ロンドンの雨の中で別世界の音響彫刻へと作り変えた。原曲が「予感」だとすれば、ヘンドリックス版は「予感が現実になった瞬間」の音である。1960年代末の終末感、ヴェトナム、公民権、そ…
DON MCLEAN · 1971
8分36秒という当時のラジオ常識を破る長さで、ある時代の終焉を語り続けるフォークロック叙事詩。1959年2月3日のバディ・ホリーらの飛行機事故を起点に、1960年代という青春の幻想がいかに崩れていったかを、寓話的な暗号で描き切った。発表から半世紀以上経っても、なぜこの曲は世代を超…
BRITNEY SPEARS · 1998
1998年秋、ルイジアナ出身の16歳の少女が放った3分半のポップソングは、90年代末のMTV文化を一変させ、ティーンポップの教科書を書き換えた。スウェーデン人プロデューサー、マックス・マーティンの工房から生まれたこの曲は、孤独と渇望を疾走するシンセとドラムマシンに乗せて、世界中の…
AC/DC · 1980
喪のなかから生まれた、史上もっとも強靭なロックンロール。AC/DCは前任ボーカリスト、ボン・スコットの突然の死から五ヶ月後、黒いジャケットに身を包んだアルバム『Back in Black』をリリースし、そのタイトル曲で「悲しみを暴力ではなく、グルーヴで処理する」という稀有な感情の…
MICHAEL JACKSON · 1982
一行で言うと: 見知らぬ女性に「あなたの子よ」と訴えられた男が、それを否定し続ける——これは身に覚えのない父親認知騒動を歌った、Michael Jackson自身の体験に基づく曲だ。…
MICHAEL JACKSON · 1991
1991年11月、世界27カ国で同時オンエアされたミュージックビデオは、推定5億人の視聴者を一夜にして繋いだ。ロックギターのリフとラップ、アフリカ的なコール&レスポンス、そしてモーフィングで人種が溶け合う映像。「黒か白か」という二項対立を、ポップの最大公約数で笑い飛ばそうとした、…
BOB DYLAN · 1963
1963年、22歳の青年が書いた問いの連鎖が、公民権運動のテーマソングとなり、世代のアンセムとなった。答えは風の中にある——その曖昧で詩的な結語は、しかし聴き手それぞれに「自分で考えろ」と静かに突きつける装置でもあった。フォークの伝統に深く根ざしながら、ボブ・ディランはこの楽曲で…
QUEEN · 1975
「これはFreddieの"カミングアウトの予行演習"だった」…
BRUCE SPRINGSTEEN · 1984
BRUCE SPRINGSTEEN · 1975
1975年、ニュージャージーの労働者階級の若者が、何ヶ月もスタジオに籠もり、フィル・スペクター流の音の壁を借りて「逃げる」という普遍的な衝動を4分半に閉じ込めた。Born to Runは単なるロックンロール賛歌ではなく、アメリカの夢が壊れかけた時代に、それでもなお走り出すことの意…
2PAC FT. DR. DRE · 1995
LOS ANGELES, USA
1995年末、刑務所から出てきたばかりの男が、西海岸の太陽に向かって叫んだ凱旋歌。Gファンクの黄金期を象徴するこの曲は、単なるパーティーアンセムではなく、カリフォルニアという「約束の地」の神話と、その裏にある不穏な現実を同時に運んでくる作品だ。…
OASIS · 1995
1995年、英国の労働者階級の街マンチェスターから生まれた7分半の大曲は、Britpopという時代精神を象徴する祝祭であり、同時にその終焉の予兆でもあった。「Champagne Supernova」は、意味を放棄することによってかえって普遍に到達した稀有な楽曲であり、世代を超えて…
ERIC CLAPTON · 1977
1977年、エリック・クラプトンがアルバム『Slowhand』に収録したカヴァー曲。原曲はJ.J.ケイル。一見ドラッグを賛美しているように聴こえるが、実はその逆を仕掛けた反ドラッグ・ソングとされる。シンプルなリフの裏で「依存」というテーマが反復され、70年代後半のロックの倦怠と覚…
THE BEATLES · 1969
1969年9月、ビートルズが最後に揃って吹き込んだスタジオ盤『Abbey Road』の幕開けを飾ったのが、この奇妙なファンクのような、呪文のような一曲だった。元はティモシー・リアリーの選挙キャンペーンソングとして書き始められた断片が、ジョン・レノンの手で意味を解体され、四人が肩を…
PINK FLOYD · 1979
1979年、Pink Floydがコンセプトアルバム『The Wall』で世に送り出した「Comfortably Numb」は、舞台袖で疲弊したロックスターに医師が注射を打つという一場面を、二人の歌い手と二本のギターソロで描いた静謐な悲鳴である。痛みを感じないこと——その「心地よ…
PULP · 1995
SHEFFIELD, UK
サッチャー以後の英国で、階級は本当に消えたのか。ジャーヴィス・コッカーがロンドン芸術大学のカフェテリアで出会ったギリシャ人留学生の言葉から生まれたこの曲は、「労働者階級ごっこ」をする富裕層への怒りを、踊れるシンセポップに変えた。Britpop全盛期の中で、最も知的で、最も刺さる一…
RADIOHEAD · 1992
一行で言うと: 高嶺の花の女性に恋い焦がれた男が「自分は不気味な存在で、ここに居る資格すらない」と自己嫌悪を爆発させる、自己否定の聖歌。Radioheadのデビューシングルにして、彼ら自身が長年憎み続けた呪いの曲。…
EAGLES · 1973
1973年、まだ無名に近かったイーグルスが放った「Desperado」は、シングルカットすらされなかった地味な一曲だった。それが半世紀を経て、孤独と自由のはざまで揺れる現代人の心の鏡として読み直されている。西部の無法者に仮託された「降りられない男」の物語は、終身雇用が崩れ「自分ら…
OASIS · 1995
1995年、マンチェスター郊外で書かれたこのバラードは、90年代英国の希望と憂鬱を同時に背負った国民的賛歌になった。ジョン・レノンの幽霊、ブリットポップ戦争、そしてマンチェスター・アリーナ爆破事件後に群衆が自然発生的に歌い始めた瞬間まで――この曲はイギリスがイギリス自身に語りかけ…
JOURNEY · 1981
一行で言うと: 田舎町から都会に出てきた若い男女が、深夜のバーで偶然出会う——その一瞬の希望を、信じることをやめるな、と歌った曲。実はサビの「街の名前」は実在しない設定で、誰の物語でもある。…
QUEEN · 1978
1978年、フレディ・マーキュリーが疾走する歓楽の只中で書き上げたこの曲は、当時こそ「軽すぎる」と批判されながら、彼の死後、世界で最も「幸福な歌」として再評価されるに至った。日本のリスナーにとっては、Queen初来日(1975年)の熱狂と、80年代を駆け抜けた矢沢永吉やサザンオー…
MICHAEL JACKSON · 1995
マイケル・ジャクソンが1995年に発表した「Earth Song」は、ポップソングというよりも一篇の祈祷文に近い。森林破壊、戦争、動物虐殺、貧困——彼のディスコグラフィの中でもっとも怒りに満ち、もっとも声明的な作品でありながら、商業的にも『HIStory』時代を代表する世界的ヒッ…
JAY-Z FT. ALICIA KEYS · 2009
NEW YORK, USA
2009年、ニューヨークが自分自身を歌い直すために選んだ曲。Jay-Zの語りとAlicia Keysのピアノが、ブルックリン育ちの一人の男の自伝を、都市そのものの讃歌へと押し上げた。9.11後の傷とリーマンショック後の不安を抱えたまま、ニューヨークは「それでもここはコンクリートの…
METALLICA · 1991
1991年8月、メタリカは黒いジャケットに身を包んだ5枚目のアルバムを世に放った。その先陣を切ったのが「Enter Sandman」である。子守唄と悪夢、無垢と恐怖、就寝前の祈りと闇からせり上がってくるもの——この曲は、アメリカのスラッシュメタルが初めてアリーナの天井を突き破り、…
THE POLICE · 1983
一行で言うと: 世界中で結婚式の定番曲として愛されているこのバラードは、実は別れた相手を執拗に監視し続けるストーカーの歌である。…
BACKSTREET BOYS · 1997
1997年、Backstreet Boysが世界に向けて放った宣戦布告にして、90年代後半のポップ・カルチャーを定義する一曲。グランジが疲弊し、エレクトロニカが台頭する狭間で、5人組の白人ボーイズグループはあえて「帰還」を宣言し、ハロウィン的なゴシック・ホラーの意匠をまとって踊っ…
JOURNEY · 1983
ツアーバスの窓に映る街の灯と、遠く離れた恋人の顔。Journeyの「Faithfully」は、ロックスターという華やかな職業の裏側にある孤独と、それでも繋がり続けようとする誠実さを描いた1983年の名バラードである。キーボーディストのJonathan Cainがネブラスカ州のモー…
RADIOHEAD · 1995
OXFORD, UK
1995年、Radioheadは2作目のアルバム『The Bends』で「Creep」のバンドから飛躍を遂げた。その中核に置かれたバラード「Fake Plastic Trees」は、消費社会に擦り減らされていく人間の疲労を、アコースティックギターと弦楽の静かな高揚で描く。プラスチ…
STAN GETZ & JOÃO GILBERTO · 1964
1964年、ニューヨークのスタジオで録音されたボサノヴァの一曲が、世界で最もカヴァーされた楽曲のひとつとなり、日本人の音楽観をも静かに塗り替えた。「イパネマの娘」は、リオの海辺のスケッチであると同時に、戦後日本が「都市の余白」を発見していくサウンドトラックでもある。なぜ昭和の喫茶…
SEX PISTOLS · 1977
LONDON, UK
1977年、エリザベス女王即位25周年(シルバー・ジュビリー)に沸くイギリスで、Sex Pistolsは国歌と同じタイトルの曲を放った。失業率と階級格差に苛立つ若者の代弁として、それは「国家への呪詛」とも「最も誠実な愛国歌」とも読まれてきた。テムズ川を遊覧船で航行しながら演奏した…
ADELE · 2015
2015年の秋、世界中のスマートフォンに同じ電話の呼び出し音が鳴り響いた。Adeleの「Hello」は、別れた恋人への一本の電話という古典的なモチーフを、デジタル時代の孤独と和解の儀式へと変えた稀有な楽曲である。失われた時間を取り戻すことはできないが、それでも声を届けようとする—…
DAVID BOWIE · 1977
冷戦下のベルリンで録音された「Heroes」は、壁の影で抱き合う恋人たちをわずか一日だけの「英雄」として描く、デヴィッド・ボウイ最大の逆説的アンセムである。希望の歌として誤読され続けながら、その実、引用符付きの「"Heroes"」というタイトルが告げるのは、永続しない瞬間の美しさ…
THE BEATLES · 1968
"Hey Jude, don't make it bad. Take a sad song and make it better."…
DEEP PURPLE · 1972
1971年、英国からスイスへ向かう高速道路を走るツアーバスの中で、ファンに「どうやって曲を作るのか」と問われたDeep Purpleは、その場でギターをかき鳴らし即興のリフを返した。それが世界最速のロックの幕開けだった。『Machine Head』の冒頭を飾るこの曲は、ハードロッ…
AC/DC · 1979
一行で言うと: 悪魔崇拝の歌ではない。長距離ツアーで疲弊しきったロックバンドが「俺たちの生活、まるで地獄行きハイウェイだな」と自嘲した、現場感丸出しの労働歌である。…
EAGLES · 1976
「アメリカン・ドリームの行き過ぎ、過剰、そこから抜け出せなくなる感覚を歌った」…
BACKSTREET BOYS · 1999
1999年、世紀末の不安をきらめくハーモニーで包み込んだ、ボーイバンド史上最も完璧で最も意味不明な失恋ソング。歌詞の文法的矛盾は批評家を苦しめたが、それこそが世界が求めた「完璧さ」の正体だった。ポップミュージックが「意味」よりも「響き」を選んだ瞬間として、今も再評価され続けている…
JOHN LENNON · 1971
"Imagine there's no heaven, no hell below us, no countries, no religion, no possessions."…
BON JOVI · 2000
2000年、新世紀の入口でBon Joviが放った「It's My Life」は、80年代の遺物と見なされかけていたバンドを甦らせただけでなく、ミレニアム世代の自己決定のアンセムとなった。表面はシンプルな反抗歌だが、その裏には90年代の喪失、Frank Sinatraの影、そして…
THE NOTORIOUS B.I.G. · 1994
BROOKLYN, USA
: 1994年、ブルックリンの片隅から世界へ。The Notorious B.I.G.のデビュー曲「Juicy」は、貧困から成功への階段を、皮肉でも卑屈でもなく、ただ淡々と「事実」として語った稀有なヒップホップ曲である。サンプリングはMtumeの「Juicy Fruit」、プロデ…
VAN HALEN · 1984
: 1984年、ハードロック・バンドの代名詞だったヴァン・ヘイレンが、突如としてシンセサイザーを前面に押し出した「Jump」をリリースし、全米1位という栄光と同時にバンド内部に亀裂を生んだ。エディ・ヴァン・ヘイレンのギター神話と、デヴィッド・リー・ロスのショーマンシップが衝突した…
RADIOHEAD · 1997
1997年、世紀末を前にしたイギリスから届いた、奇妙な「カルマ警察」の歌。社内ジョークから始まったこの曲は、いつの間にか監視社会と自己崩壊の寓話となり、四半世紀を経てなお、誰かを密告したくなる気分と、密告される側の恐怖の両方を同時に描き出している。Radioheadの『OK Co…
LED ZEPPELIN · 1975
1975年、Led Zeppelinが放った「Kashmir」は、実際に訪れたことのない土地への憧憬を、終わりなき行進のような8分間に封じ込めた異形の名曲である。モロッコの砂漠で着想され、カシミールという名を借りた幻想の旅は、ロックがオリエンタリズムと格闘した時代の象徴であり、同…
QUEEN · 1974
1974年、まだ「奇妙な四人組」と見なされていたクイーンを一夜にして英国ポップ界の頂点へ押し上げた一曲。フレディ・マーキュリーが「高級娼婦」を主人公にシャンパンとモエ・エ・シャンドンとマリー・アントワネットを並べたこの楽曲は、後のグラムロック、ヴィジュアル系、そして日本のシティポ…
ÉDITH PIAF · 1947
戦争で傷ついたパリの街角で、150cmの小柄な歌手が口ずさんだ即興のメロディーが、20世紀でもっとも翻訳・カバーされたシャンソンの一つになった。「バラ色の人生」というタイトルは甘い恋愛賛歌のように聞こえるが、その裏には孤児院で育ち、路上で歌い、二度の世界大戦をくぐり抜けた女性の、…
DEREK AND THE DOMINOS · 1970
1970年、エリック・クラプトンが「親友の妻」への報われない恋情を、覆面バンド「デレク・アンド・ザ・ドミノス」名義で叩きつけた7分間の悲鳴。前半の七連打リフと後半のピアノ・コーダという二部構成は、ロック史上もっとも非対称で、もっとも傷を負った愛の構造体である。ジョージ・ハリスン、…
BILL WITHERS · 1972
サマリ: ビル・ウィザーズが1972年に発表した「Lean on Me」は、ピアノの単音をなぞるだけのシンプルな旋律に、ウェストヴァージニアの炭鉱町で育った青年の記憶を封じ込めた一曲である。ソウルでもゴスペルでもブルースでもなく、それらが分かれる前の「人が人に肩を貸す」という最も…
DUA LIPA · 2020
: 2020年、世界がロックダウンで停止した瞬間に、Dua Lipaは「踊ること」を最も真剣な政治的・実存的行為として再定義した。"Levitating"は、ディスコの黄金時代のグルーヴを2020年代の孤独に向けて差し出した「希望のキャプセル」であり、ポップが現実逃避ではなく現実…
BOB DYLAN · 1965
一行で言うと: かつて上流階級にいた女が転落して路上に放り出される——その姿を「どんな気分だ?」と6分間問い続ける、ロック史上もっとも有名な「ざまあみろソング」。…
OASIS · 1994
MANCHESTER, UK
1994年、マンチェスター郊外の公営住宅から生まれた一曲が、グランジに沈んでいた英国の若者たちに「生きる」という素朴な言葉を返した。「Live Forever」は、Oasisがデビューアルバム『Definitely Maybe』に刻んだ、ノエル・ギャラガーが書いた最初の本物のアン…
BON JOVI · 1986
一行で言うと: ストライキで仕事を失った若い労働者カップル、TommyとGinaが、それでも互いの手を握って「明日はなんとかなる」と祈るように生きていく——80年代アメリカの「下から目線」のアンセム。…
EMINEM · 2002
DETROIT, USA
一度きりのチャンスを掴むか、見送るか。デトロイトの寒い夜、トレーラーハウスから世界を変えようとした白人ラッパーが、自分自身の人生を投影した6分間の自己啓発書。それが「Lose Yourself」だった。映画『8 Mile』の主題歌として生まれ、ラップ史上初めてアカデミー賞主題歌賞…
THE POLICE · 1979
1979年、ザ・ポリスのスティングが書き上げた孤独な男のSOS。だがその瓶は思いがけない応答を呼び込み、孤独の本質を反転させる。レゲエとパンクと白人のニューウェイヴが交差した瞬間に鳴ったこの曲は、コミュニケーション過剰な現代においてこそ、再び新しい意味を帯び始めている。…
RADIOHEAD · 1997
1997年、世紀末の不安と日常の倦怠が交差する地点で、レディオヘッドは子守唄のような旋律に静かな自殺願望を忍ばせた。グロッケンシュピールの愛らしい響きの裏で語られるのは、安全で予測可能な人生という名の緩やかな窒息である。「No Surprises」は反抗の歌ではなく、反抗すること…
BOB MARLEY & THE WAILERS · 1974
1974年、キングストンのスラム街トレンチタウンの記憶を、慰めと不屈の祈りへと昇華させた一曲。「泣かないで」という呼びかけの裏には、貧困、コミュニティの絆、そして音楽が政治になる瞬間がある。日本のリスナーにとっては、矢沢永吉の「黒くぬれ!」的な這い上がりの物語や、桑田佳祐が描く下…
METALLICA · 1991
スラッシュメタルの王者が、ツアー先のホテルで電話越しに恋人と話すために片手でアルペジオを弾いた——その私的なメモが、世界で最も再生されるバラードのひとつに化けた。ジェイムズ・ヘットフィールドが「絶対にメタリカの曲にはならない」と隠していた弾き語りを、ラーズ・ウルリッヒが偶然耳にし…
GUNS N' ROSES · 1991
9分弱のロックバラード、オーケストラ、結婚式と葬式、雨に濡れたピアノ。「November Rain」は、ハードロックバンドが自らの存続を賭けて作った大伽藍であり、Axl Roseが過去の恋人に捧げた長い手紙でもある。1991年、ロサンゼルスの享楽の終わりを告げた、ロック史上もっと…
U2 · 1991
1991年、ベルリンの壁崩壊から二年。解散寸前まで追い詰められたU2が、東西の境目が消えたばかりの街で偶然見つけた一曲。「One」は連帯の歌として世界中で歌われてきたが、その実態は決別の予感に満ちた、ひりつくような対話の歌である。ひとつになれるかもしれない、けれど同じではない——…
JOURNEY · 1981
1981年、アリーナロックの絶頂期にあったジャーニーが世に放った「Open Arms」は、ハードロックバンドが書いたバラードとしては異例の到達点だった。スティーヴ・ペリーの声が、ロックの粗野さとブロードウェイ的な甘美さのあいだに新しい回廊を開き、80年代の「パワーバラード」という…
THE ROLLING STONES · 1966
1966年、ロンドンのスタジオで生まれた「Paint It Black」は、ロックンロールに東洋の楽器シタールを持ち込み、悲嘆と虚無の感覚をポップミュージックの中心に据えた革命的な一曲だ。表面的にはドアーズ的なサイケデリアの先駆けに見えながら、その核には恋人を失った青年の、世界そ…
VAN HALEN · 1984
"Panama! Panama-ah!"…
RADIOHEAD · 1997
OXFORD, UK
1997年、オックスフォード郊外の貴族の館で録音された6分半の組曲は、90年代後半の不安と疎外感を結晶化させた。Radioheadの『OK Computer』を象徴するこの楽曲は、ロックの構造そのものを解体し、世紀末の予感を映し出した時代のサウンドトラックである。…
BLUR · 1994
LONDON, UK
1994年、サッチャー時代の残響がまだ消えないロンドンで、Blurは「英国人らしさとは何か」を皮肉と愛情で歌い上げた。アルバム『Parklife』のタイトル曲は、グランジ全盛の英米ロックシーンに対する大胆な反撃であり、Britpopという文化現象の宣言文だった。30年後の今、この…
STONE TEMPLE PILOTS · 1992
SAN DIEGO, USA
1992年、シアトルの陰鬱なフランネルが世界を覆い尽くしたその年に、南カリフォルニアの陽光のなかから現れた4人組がいた。Stone Temple Pilotsの「Plush」は、グランジの文法を借りながら、まったく別の場所——失踪事件の新聞記事と、ある男のささやかな苦悩——を歌っ…
JIMI HENDRIX · 1967
1967年、ロンドンの霧深い冬に生まれた一曲が、ロックギターの言語そのものを書き換えた。「Purple Haze」は、わずか2分50秒のなかに、ブルースの土壌から立ち上がるサイケデリアの蒸気、宇宙への憧憬、そして黒人ギタリストが白人ロックの中心で異邦人として鳴らす不協和音を封じ込…
BOB MARLEY · 1980
: 1980年、死を目前にしたボブ・マーリーがアコースティックギター1本で残した遺言のような楽曲。レゲエの王が最後に選んだのは、ドラムもベースもない、フォークソングの形だった。日本のリスナーにとっては、岡林信康や高田渡が歌い継いだ「うた」の精神、そして矢沢永吉が体現した「自分の足…
THE POLICE · 1978
1978年、パリの薄暗いホテルの一室で生まれた一曲が、無名のトリオを世界的スターへと押し上げた。「Roxanne」は娼婦に恋した男の片想いをタンゴのリズムに乗せて歌った、奇妙で美しいパンク以降のラブソングである。レゲエとパンクと文学が交差するその3分間に、70年代末ロンドンの不安…
THE ROLLING STONES · 1965
1965年、フロリダのモーテルで眠っていたキース・リチャーズが、夢の中で聴いたファズ・ギターのリフを枕元のテープレコーダーに吹き込み、再び眠りに落ちた。翌朝再生された数十秒の断片は、20世紀後半のポピュラー音楽の地形を書き換える発火点となる。テレビ、広告、消費社会への倦怠を5分弱…
TAYLOR SWIFT · 2014
2014年、テイラー・スウィフトはカントリーの少女から完全なポップスターへと脱皮した。「Shake It Off」はその宣言文であり、同時に、ソーシャルメディア時代の自己防衛マニフェストでもある。陽気なホーンセクションの裏側で、彼女は自分を消費しようとする視線そのものを軽やかに振…
NIRVANA · 1991
一行で言うと: 退屈と怒りに飽きた90年代のティーンエイジャーが、意味のある言葉では何も言えないと悟り、ただ叫ぶしかなくなった瞬間の歌。Kurt Cobainは「世代の代弁者」になることを最も嫌った男なのに、この曲が彼をそれにしてしまった。…
DEEP PURPLE · 1972
一行で言うと: 1971年12月、スイスのモントルーでフランク・ザッパのコンサート中に火事が起き、レマン湖に煙が立ち込めた——その実話をそのまま歌にしたのが「Smoke on the Water」である。…
QUEEN · 1976
: 1976年、フレディ・マーキュリーがゴスペルの神々しさとロックの轟音を融合させて生み出した「Somebody to Love」は、孤独な魂が天に向かって「誰か愛をくれ」と叫ぶ祈りの歌である。アレサ・フランクリンへの偏愛から生まれたこの曲は、後楽園球場でクイーンを神格化した19…
ADELE · 2011
ピアノとボーカルだけで世界中のチャートを制圧した、2011年最大の「静かな事件」。失恋の歌に偽装した、自分自身への弔辞であり再生宣言。アデルがまだ22歳のときに書いたこの曲は、ポップミュージックが「派手さ」を競っていた時代に、剥き出しの感情がいかに強い武器になり得るかを証明した。…
BLUR · 1997
LONDON, UK
1997年、Blurは英国を席巻していた「ブリットポップ」の鎧を脱ぎ捨てた。その象徴が、わずか2分2秒、アルバムの2曲目に置かれた「Song 2」だ。元はパロディとして書かれた即興的な轟音が、皮肉にも彼らのキャリア最大のヒットとなり、スタジアム、スポーツ中継、ゲーム機の中で永遠に…
DAVID BOWIE · 1969
1969年7月、人類が月面に到達するわずか数日前にリリースされた一曲が、宇宙開発という時代の最大の祝祭に冷ややかな影を落とした。デヴィッド・ボウイは、英雄的な宇宙飛行士ではなく、軌道上で連絡を絶ち、地球から永遠に切り離されていく男「トム少佐」を描いた。これは宇宙の歌であると同時に…
LED ZEPPELIN · 1971
「ある夜、暖炉のそばに座って、ペンを取った。何も考えていなかった。手が勝手に動いて、最初の数行が出てきた。"There's a lady who's sure all that glitters is gold..."(光るものすべてが金だと信じている女性がいる)」…
EMINEM · 2000
DETROIT, USA
2000年、デトロイト出身の白人ラッパーが、架空のファンレターをそのまま曲にした。手紙を書き、返事を待ち、絶望し、最後には恋人を車のトランクに乗せて橋から落ちる男の物語。ヒップホップが「自分を大きく見せる音楽」だった時代に、エミネムは「自分を崇拝する誰か」の視点から自分を撃ち抜い…
STEVIE WONDER · 1972
サマリ: 1972年、22歳のスティーヴィー・ワンダーがモータウンとの再契約を勝ち取り、芸術的自律を手にして放った最初の弾丸が「Superstition」だった。クラヴィネットの粘り強いリフが告げるのは、迷信が幸福を遠ざけるという冷徹な啓示であり、ファンクの誕生と黒人音楽の自己決…
NEIL DIAMOND · 1969
1969年、ニール・ダイアモンドがメンフィスのアメリカン・サウンド・スタジオで録音した「Sweet Caroline」は、ホーン・セクションが炸裂する瞬間の高揚感によって、半世紀以上にわたりスタジアム、結婚式、そしてパブの夜を支配してきた。当初はビルボード4位の中ヒットに過ぎなか…
GUNS N' ROSES · 1987
一行で言うと: ハードロックの代名詞となったこの曲は、実はSlashが「ふざけて弾いた指ならし」のリフから生まれた、Axl Roseが恋人への愛を素直に綴った珍しいラブソングである。…
EAGLES · 1972
1972年5月、無名に近かったロサンゼルスのバンドEaglesがデビューシングルとして放った「Take It Easy」は、ベトナム戦争の泥沼とヒッピー文化の終焉のあいだで疲弊したアメリカに、軽やかな西部の風を吹き込んだ。Jackson Browneが書きあぐねた未完の歌詞をGl…
ERIC CLAPTON · 1992
SIMON & GARFUNKEL · 1969
「The Boxer」は、ニューヨークの片隅でうずくまる無名の若者の独白と、リング上で打ち続けられても立ち上がるボクサーの幻影を重ねた、1969年のフォーク・ロックの金字塔である。ポール・サイモンが自身の評論家への怒りと、世代の幻滅を織り交ぜながら書いたこの曲は、約100時間のス…
SIMON & GARFUNKEL · 1964
1964年にひっそりと発表され、当初は商業的に失敗作と見なされた一曲が、エレクトリック・ギターとドラムを後から重ねるという奇策によって突如全米1位へと駆け上がる。沈黙の中で語り合うことを忘れた群衆を描いたこの曲は、テレビが家庭に行き渡り、ケネディ暗殺が国民の精神に影を落とした時代…
BRUCE SPRINGSTEEN · 1975
ニュージャージーの小さな町の網戸が、ハーモニカの一吹きで揺れる。「Thunder Road」は1975年の名盤『Born to Run』の幕開けを飾る曲であり、ロックンロールが「逃走」というアメリカ的なテーマをどこまで詩に変えられるかを示した分水嶺である。それは恋人への口説き文句…
AC/DC · 1990
1990年、AC/DCはバンド史最大の危機を脱したあとで『The Razors Edge』をリリースし、その冒頭を飾る「Thunderstruck」はロックの歴史で最も中毒性の高いイントロのひとつとなった。アンガス・ヤングの指が紡ぐあの上昇音型は、単なるリフではなく、復活と通過儀…
BRITNEY SPEARS · 2003
2003年、ブリトニー・スピアーズが放った「Toxic」は、ボリウッド由来の弦の引きずり、サーフギターのうねり、そしてシンセの煙幕を一つの薄い注射針に集約したポップの実験だった。中毒という比喩を恋愛から逸脱させ、ポップそのものの構造に向けた一曲。グラミー受賞、ミーム化、ティックト…
QUEEN & DAVID BOWIE · 1981
1981年7月、スイス・モントルーのスタジオで偶然始まったジャムセッションが、20世紀ポップ史に残る二大アイコンの邂逅を生んだ。冷戦末期の不安と都市生活の窒息感を、ジョン・ディーコンの単純なベースラインに乗せて吐き出した「Under Pressure」は、プレッシャー社会を生きる…
DON MCLEAN · 1971
1971年、ドン・マクリーンは『American Pie』のB面ともいうべき位置に、フィンセント・ファン・ゴッホへの静かな鎮魂歌を置いた。アコースティックギター一本と弦楽のため息だけで描かれたこの曲は、ロックの饒舌な時代にあって「沈黙の肖像画」として孤立し、半世紀を経たいまも、誤…
BON JOVI · 1987
ニュージャージー出身の若者たちが、80年代アメリカのアリーナを満杯にしながら、なぜ自分たちを19世紀の無法者ガンマンになぞらえたのか。『Wanted Dead or Alive』は、グラム・メタル全盛期のただ中で書かれた「ロック・ミュージシャン版ウェスタン」であり、ツアー生活の孤…
QUEEN · 1977
1977年、パンクが「ロックスター神話を殺せ」と叫んでいた最中に、クイーンは敢えて荘厳なアンセムを放った。勝利と挫折の両方を抱きしめるこの曲は、サッカースタジアムから卒業式まで、半世紀にわたって「人間の連帯」のサウンドトラックであり続けている。後楽園球場の歓声、武道館の余韻、サザ…
QUEEN · 1977
1977年、Queenが「観客が歌の一部になる曲」を発明した。足踏み2回、手拍子1回——たったこれだけのリズムが、スタジアムを「神殿」に変え、サッカーの応援歌から日本のプロ野球の球場まで、世界中の集団的高揚の語彙になった。後楽園球場の応援団も、武道館のロックファンも、無意識のうち…
GUNS N' ROSES · 1987
1987年、ロサンゼルスの裏路地から立ち上がった一曲のロックンロールは、80年代の華美なグラム・メタルに引導を渡し、ロックの「危険」を再起動させた。アクセル・ローズが歌う「ジャングル」とは、彼が初めてLAに降り立ったときの恐怖と興奮、そして都市が人を呑み込んでいく光景そのものだっ…
LED ZEPPELIN · 1969
1969年、レッド・ツェッペリンが世に放った「Whole Lotta Love」は、ブルースをハードロックへと変質させた瞬間の刻印である。ウィリー・ディクソンの古いブルースから生まれ、ジミー・ペイジのリフとロバート・プラントの咆哮、そしてエンジニアの偶然のミスから生まれた中間部の…
PINK FLOYD · 1975
1975年、Pink Floydが世界的成功の真っ只中で発表した『Wish You Were Here』は、不在の友、シド・バレットへの追悼であり、同時に音楽産業の冷たさへの抗議でもあった。タイトル曲は、アコースティック・ギターのざらついた音色と、ラジオから漏れ出すような遠さのな…
U2 · 1987
1987年、U2は『The Joshua Tree』というアルバムでアメリカの神話と砂漠の風景に踏み込み、その先頭打者として世界に放たれたのが「With or Without You」だった。エッジの無限音階のように伸びていくギター、ボノが囁き、絞り出し、最後には叫ぶ声。表向きは…
ERIC CLAPTON · 1977
パーティーに出かける前の、たった数分の出来事を描いた小さな歌。だが「Wonderful Tonight」は、エリック・クラプトンの私生活の修羅と、70年代後半のロックが向かった成熟という地殻変動を、奇妙なほど静かに記録している。ラブソングの皮をかぶった、ある男の依存と憧憬と諦念の…
OASIS · 1995
THE BEATLES · 1965
一行で言うと: 恋人が去ってしまった理由がわからず、昨日に戻りたいと願う男の、たった2分間の独白。Paul McCartneyが夢の中で完成形のメロディを聴いて目を覚まし、ピアノに駆け寄って書き留めた、ポップス史上もっともカバーされた曲。…
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