Panama
この曲は、車の歌である。女の歌ではない。
"Panama"と聞くと多くの人が「パナマって国?」「女性の名前?」と思う。実はこれ、車の名前だ。
David Lee Roth(ボーカル)がある時、批評家に「お前らの歌は車かセックスか酒のことばっかりだ」と言われてカチンと来た。"よし、じゃあ車の歌をまだ書いてないから書いてやる"——そうして生まれたのがPanama。Rothがラスベガスのレースで見た"Panama Express"というドラッグスターが元ネタ、と本人がのちに語っている。
だから歌詞は、全編「車と疾走」の比喩でできている
サビでこう叫ぶ:
"Panama! Panama-ah!"
意味不明に聞こえるこの連呼は、エンジン全開で名前を叫ぶという、ただそれだけの行為。意味じゃなくて衝動。Van Halenの真骨頂。
そしてバース(Aメロ)では、エンジン・タイヤ・夜の道——車を女性のように描写する古典的なロックの手法を使う。"Hot shoe, burnin' down the avenue"(焼けたタイヤで大通りをぶっ飛ばす)みたいな具合に、車と欲望が完全に同じ温度で語られる。
一番ヤバいのは、間奏のあのウィスパー
曲の中盤、Eddie Van Halenのギターが一瞬静まり、Rothが囁くようにこう言う:
"I can barely see the road from the heat comin' off." (熱気で道がほとんど見えない)
ここ、車のボンネットから立ち上る陽炎の話でもあり、興奮で目がかすむ男の話でもある。Van Halenの歌詞の妙は、この**「車=欲望」のメタファーを一度も種明かしせずに最後まで突っ切る**ところ。聞き手はなんとなく「ヤバい何かが起きてる」と感じるだけ。
1984年という年
この曲が入った『1984』というアルバムは、Van Halen最大のヒット作。同じアルバムに"Jump"が入ってる。"Jump"がシンセサイザーでポップ寄りに振った曲なら、Panamaは**「俺たちは元々こういうバンドだ」という自己主張**だった。Rothはこのあとバンドを脱退する。だから今聴くと、これは初期Van Halenの最後の咆哮でもある。
なぜ今もこの曲が聴かれるのか
40年経った今、Panamaはアメリカのスポーツスタジアム、映画のカーチェイス、CM、Spotifyの「ドライブ・プレイリスト」で鳴り続けている。Eddie Van Halenが2020年に亡くなってからは、追悼の意味でも再評価された。
「何も考えずアクセルを踏みたい瞬間」が人類にある限り、この曲はずっと鳴っている。それは1984年のアメリカ西海岸の若者も、2026年の東京湾岸を走る誰かも、同じ。意味なんてどうでもいい。Panama、と叫びたい瞬間に、この曲はそこにある。
この曲をもっと深く楽しむには
Panamaの世界——80年代カリフォルニア、爆音、夜の砂漠の熱気——その全部を、もう少しだけ味わい尽くす方法を集めました。
🎧 音に浸る
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🌍 ゆかりの場所を訪ねる
Pasadena, California(パサデナ) Van Halen兄弟が育ち、バンドを結成した街。ロサンゼルス郊外の落ち着いた住宅地で、ローズボウル・スタジアムでも有名。LA旅行のついでに立ち寄れる「ロックの聖地」。 → パサデナ旅行ガイド ・ LA 旅行本
Whisky a Go Go (West Hollywood) Van Halenが無名時代、毎晩のように出演していた伝説のライブハウス。The DoorsもMötley Crüeもここから世界に出た。今も営業中、サンセット・ストリップ巡礼の必須ポイント。 → サンセット・ストリップ ガイド本
Las Vegas Motor Speedway Panama Express(曲名の由来となったドラッグスター)が走ったレース場。今もNASCARやドラッグレースが開催される、アメリカン・モーターカルチャーの聖地。 → ラスベガス 旅行ガイド
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🤖 もっと聞く:
- David Lee Rothとはどんな人物か?
- Van Halen兄弟の関係について教えて
- 他のロックバンドで「車=女」の比喩を使った名曲は?