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THE BEATLES · 1967
LONDON, UK
1967年、ロンドンのアビイ・ロード・スタジオで録音された「A Day in the Life」は、新聞記事の断片と未完成の朝のスケッチが衝突するように縫い合わされ、40人のオーケストラによる轟音と、宇宙が閉じるような一音のピアノで終わる。これは単なる楽曲ではなく、20世紀後半の…
THE JACKSON 5 · 1970
DETROIT, USA
一見ただの「子ども向けの楽しい歌」に見えて、その実体はモータウンが緻密に設計した恋愛指南ソング。学校で習うアルファベットや数字に「君に恋を教えてあげる」という年上めいた口説きを重ね、11歳のマイケル・ジャクソンが歌うことで初めて成立した奇跡のバランスの曲。…
NIRVANA · 1989
1989年、グランジという言葉がまだ確立されていなかった時代に、カート・コバーンはビートルズに憧れて、たった一晩でこの曲を書き上げた。デビューアルバム『Bleach』の中で異質な甘さと哀しさを放つこのバラードは、後にMTVアンプラグドで歴史的な意味を持つ瞬間として蘇る。「彼女につ…
JIMI HENDRIX · 1968
ボブ・ディランが2分半の聖書的寓話としてざらりと書きつけた小品を、ジミ・ヘンドリックスはわずか半年後、ロンドンの雨の中で別世界の音響彫刻へと作り変えた。原曲が「予感」だとすれば、ヘンドリックス版は「予感が現実になった瞬間」の音である。1960年代末の終末感、ヴェトナム、公民権、そ…
JANET JACKSON · 2001
離婚という人生の谷底をくぐり抜けたジャネット・ジャクソンが、「もう一度、自由に誰かを好きになっていい」と自分自身に許可を出した解放宣言。気になる相手を堂々とナンパする、その軽やかさの裏には深い再生の物語がある。…
BON JOVI · 1994
1994年、グランジが時代の主役を奪い、アリーナロックが時代遅れと嘲笑されていた頃に、Bon Joviは「Always」というたった一曲のパワーバラードで、ロックの王道がまだ死んでいないことを証明した。元々は映画のために書かれ、映画ごと棄てられかけたこの曲は、結果的にバンドのキャ…
DON MCLEAN · 1971
CLEAR LAKE, IOWA, USA
8分36秒という当時のラジオ常識を破る長さで、ある時代の終焉を語り続けるフォークロック叙事詩。1959年2月3日のバディ・ホリーらの飛行機事故を起点に、1960年代という青春の幻想がいかに崩れていったかを、寓話的な暗号で描き切った。発表から半世紀以上経っても、なぜこの曲は世代を超…
PINK FLOYD · 1979
1979年、ピンク・フロイドが世に放った『The Wall』のセンターピース。ディスコのビートと子どもたちの不気味な合唱が、戦後イギリスの教育システムへの集団的怒りを召喚した。これは反抗の歌であると同時に、内面に積み上がっていく心理的な「壁」のメタファーであり、ロックが社会批評を…
BRITNEY SPEARS · 1998
1998年秋、ルイジアナ出身の16歳の少女が放った3分半のポップソングは、90年代末のMTV文化を一変させ、ティーンポップの教科書を書き換えた。スウェーデン人プロデューサー、マックス・マーティンの工房から生まれたこの曲は、孤独と渇望を疾走するシンセとドラムマシンに乗せて、世界中の…
AC/DC · 1980
喪のなかから生まれた、史上もっとも強靭なロックンロール。AC/DCは前任ボーカリスト、ボン・スコットの突然の死から五ヶ月後、黒いジャケットに身を包んだアルバム『Back in Black』をリリースし、そのタイトル曲で「悲しみを暴力ではなく、グルーヴで処理する」という稀有な感情の…
MICHAEL JACKSON · 1987
NEW YORK CITY, USA
タイトルの「Bad」は「悪い」ではなく、ストリートのスラングで「最高にイケてる、タフ」という意味。仲間に流されず、自分の道を貫く青年の宣言ソングであり、実在の少年の悲劇から生まれた物語だ。…
LADY GAGA · 2009
2009年秋、Lady Gagaが世界に放った「Bad Romance」は、単なるダンスポップヒットを超えて、2000年代末のポップカルチャーの臨界点を象徴する一曲となった。ヒッチコック的サスペンス、ファッションデザイナーへの執着、そして恋愛の暴力性を、極彩色のシンセサウンドと「…
MICHAEL JACKSON · 1982
けんかから逃げることは負けじゃない——「強がって殴り合うより、その場を立ち去れ」という、マッチョな美学への静かな反逆を、史上最高にカッコいいロックサウンドで歌った一曲。…
MICHAEL JACKSON · 1972
13歳のマイケル・ジャクソンが歌う甘く切ないラブソング――その「ベン」とは恋人でも友達でもなく、ホラー映画に登場する殺人ネズミのリーダーの名前だった。…
MICHAEL JACKSON · 1982
一行で言うと: 見知らぬ女性に「あなたの子よ」と訴えられた男が、それを否定し続ける——これは身に覚えのない父親認知騒動を歌った、Michael Jackson自身の体験に基づく曲だ。…
MICHAEL JACKSON · 1991
1991年11月、世界27カ国で同時オンエアされたミュージックビデオは、推定5億人の視聴者を一夜にして繋いだ。ロックギターのリフとラップ、アフリカ的なコール&レスポンス、そしてモーフィングで人種が溶け合う映像。「黒か白か」という二項対立を、ポップの最大公約数で笑い飛ばそうとした、…
THE JACKSONS · 1978
踊りたくて仕方ない男が「俺が悪いんじゃない、ぜんぶブギーのせいだ」と言い訳する、底抜けに陽気なディスコ・アンセム。そして実はこの曲、マイケル・ジャクソンとは別人の「マイケル・ジャクソン」が共作したという珍事つきの一曲。…
TAYLOR SWIFT · 2014
2014年、テイラー・スウィフトはカントリーの少女から完璧なポップスターへと姿を変えた『1989』を世に放った。その中でも「Blank Space」は、彼女が自分自身に貼られたメディア上のラベル——「男を取っ替え引っ替えする恋愛中毒の女」——を皮肉とユーモアで逆手に取り、自ら演じ…
BOB DYLAN · 1963
1963年、22歳の青年が書いた問いの連鎖が、公民権運動のテーマソングとなり、世代のアンセムとなった。答えは風の中にある——その曖昧で詩的な結語は、しかし聴き手それぞれに「自分で考えろ」と静かに突きつける装置でもあった。フォークの伝統に深く根ざしながら、ボブ・ディランはこの楽曲で…
QUEEN · 1975
「これはFreddieの"カミングアウトの予行演習"だった」…
BRUCE SPRINGSTEEN · 1984
UNITED STATES, USA
1984年に発表されたブルース・スプリングスティーンの「Born in the U.S.A.」は、ロイ・ビッタンのシンセサイザーとマックス・ワインバーグのスネアが叩き出す祝祭的なアンセムの皮を被った、ベトナム帰還兵の絶望と産業空洞化に取り残された労働者階級の悲鳴である。サビの力強…
BRUCE SPRINGSTEEN · 1975
ASBURY PARK, NEW JERSEY, USA
1975年、ニュージャージーの労働者階級の若者が、何ヶ月もスタジオに籠もり、フィル・スペクター流の音の壁を借りて「逃げる」という普遍的な衝動を4分半に閉じ込めた。Born to Runは単なるロックンロール賛歌ではなく、アメリカの夢が壊れかけた時代に、それでもなお走り出すことの意…
GREEN DAY · 2004
2004年、ブッシュ政権下のアメリカで自由が窒息しかけていた時代に、Green Dayは『American Idiot』というロックオペラを叩きつけた。「Boulevard of Broken Dreams」はその中核に座る一曲で、誰もいない深夜の道を一人で歩く青年の孤独が、9.…
PINK · 2011
2011年、ドリームワークス・アニメーション映画『ハッピー フィート2』のエンドクレジットを彩るために書き下ろされた一曲。ピンクが得意とする「叫びと祈り」のあいだに立ちながら、これは怒りの歌ではなく、闇のなかで光の輪郭を見失いつつある誰かに差し伸べられる手のような楽曲だ。表面的に…
2PAC FT. DR. DRE · 1995
LOS ANGELES, USA
1995年末、刑務所から出てきたばかりの男が、西海岸の太陽に向かって叫んだ凱旋歌。Gファンクの黄金期を象徴するこの曲は、単なるパーティーアンセムではなく、カリフォルニアという「約束の地」の神話と、その裏にある不穏な現実を同時に運んでくる作品だ。…
THE JACKSONS · 1980
マイケル・ジャクソンとジャクソン兄弟が、肌の色も国境も超えて「人類はみんな同じ家族だ」と高らかに宣言した、ゴスペル仕込みの巨大な賛歌。ラブソングではなく、地球規模の連帯の歌だ。…
OASIS · 1995
1995年、英国の労働者階級の街マンチェスターから生まれた7分半の大曲は、Britpopという時代精神を象徴する祝祭であり、同時にその終焉の予兆でもあった。「Champagne Supernova」は、意味を放棄することによってかえって普遍に到達した稀有な楽曲であり、世代を超えて…
ERIC CLAPTON · 1996
1996年、エリック・クラプトンは静かに世界を変えた。ジョン・トラボルタ主演の凡庸なロマンティック・コメディのサウンドトラックに紛れ込んだこの曲は、グラミー賞最優秀レコード賞をさらい、ギター・ヒーローだった男を「優しいおじさん」へと変容させた。本稿は、悲劇を抜けたあとに彼が選んだ…
ERIC CLAPTON · 1977
1977年、エリック・クラプトンがアルバム『Slowhand』に収録したカヴァー曲。原曲はJ.J.ケイル。一見ドラッグを賛美しているように聴こえるが、実はその逆を仕掛けた反ドラッグ・ソングとされる。シンプルなリフの裏で「依存」というテーマが反復され、70年代後半のロックの倦怠と覚…
THE BEATLES · 1969
1969年9月、ビートルズが最後に揃って吹き込んだスタジオ盤『Abbey Road』の幕開けを飾ったのが、この奇妙なファンクのような、呪文のような一曲だった。元はティモシー・リアリーの選挙キャンペーンソングとして書き始められた断片が、ジョン・レノンの手で意味を解体され、四人が肩を…
PINK FLOYD · 1979
1979年、Pink Floydがコンセプトアルバム『The Wall』で世に送り出した「Comfortably Numb」は、舞台袖で疲弊したロックスターに医師が注射を打つという一場面を、二人の歌い手と二本のギターソロで描いた静謐な悲鳴である。痛みを感じないこと——その「心地よ…
PULP · 1995
SHEFFIELD, UK
サッチャー以後の英国で、階級は本当に消えたのか。ジャーヴィス・コッカーがロンドン芸術大学のカフェテリアで出会ったギリシャ人留学生の言葉から生まれたこの曲は、「労働者階級ごっこ」をする富裕層への怒りを、踊れるシンセポップに変えた。Britpop全盛期の中で、最も知的で、最も刺さる一…
RADIOHEAD · 1992
一行で言うと: 高嶺の花の女性に恋い焦がれた男が「自分は不気味な存在で、ここに居る資格すらない」と自己嫌悪を爆発させる、自己否定の聖歌。Radioheadのデビューシングルにして、彼ら自身が長年憎み続けた呪いの曲。…
BRUCE SPRINGSTEEN · 1984
1984年6月、アメリカは表向きには好景気に沸いていた。しかしその裏では、工場が閉じ、若者が「自分は何者なのか」と問い続けていた。Bruce Springsteenが『Born in the U.S.A.』の最後に書き上げたこの曲は、ポップという「明るい鎧」の内側に、暗闇のなかで…
THE JACKSON 5 · 1974
一見ただのダンス賛歌だが、その正体は「人間離れした完璧さ」への憧れと、機械のように正確に踊る一人の少女(あるいはマイケル自身)を描いたファンク・マニフェスト。マイケル・ジャクソンが「ロボット」ダンスを世に知らしめた、ソウルからディスコへの転換点でもある。…
EAGLES · 1973
1973年、まだ無名に近かったイーグルスが放った「Desperado」は、シングルカットすらされなかった地味な一曲だった。それが半世紀を経て、孤独と自由のはざまで揺れる現代人の心の鏡として読み直されている。西部の無法者に仮託された「降りられない男」の物語は、終身雇用が崩れ「自分ら…
MICHAEL JACKSON · 1988
これは特定の女性の暴露話ではなく、ステージ裏で次々とミュージシャンを誘惑する「グルーピー」という存在をモデルにした曲。誘惑に抗えず、わかっていても引き寄せられてしまう男の弱さと欲望を、ハードロックの轟音で描いた一作だ。…
GUNS N' ROSES · 1991
1991年9月、Guns N' Rosesは『Use Your Illusion I & II』という二枚組の大伽藍を同日リリースし、その先頭打者として世界に解き放たれたのが「Don't Cry」だった。ストリートの暴れ犬だったバンドが、ピアノとオーケストラと8分超のミュージック…
OASIS · 1995
MANCHESTER, UK
1995年、マンチェスター郊外で書かれたこのバラードは、90年代英国の希望と憂鬱を同時に背負った国民的賛歌になった。ジョン・レノンの幽霊、ブリットポップ戦争、そしてマンチェスター・アリーナ爆破事件後に群衆が自然発生的に歌い始めた瞬間まで――この曲はイギリスがイギリス自身に語りかけ…
JOURNEY · 1981
DETROIT, USA
一行で言うと: 田舎町から都会に出てきた若い男女が、深夜のバーで偶然出会う——その一瞬の希望を、信じることをやめるな、と歌った曲。実はサビの「街の名前」は実在しない設定で、誰の物語でもある。…
QUEEN · 1978
1978年、フレディ・マーキュリーが疾走する歓楽の只中で書き上げたこの曲は、当時こそ「軽すぎる」と批判されながら、彼の死後、世界で最も「幸福な歌」として再評価されるに至った。日本のリスナーにとっては、Queen初来日(1975年)の熱狂と、80年代を駆け抜けた矢沢永吉やサザンオー…
MICHAEL JACKSON · 1979
1979年8月。20歳になったばかりのマイケル・ジャクソンが、家族グループの「末っ子」という鎖を断ち切り、ソロアーティストとして世界に放った最初の決定打。クインシー・ジョーンズとの邂逅、ディスコの終焉、そしてポップ史の地殻変動。たった6分弱のトラックに、20世紀後半の音楽産業を組…
MICHAEL JACKSON · 1995
マイケル・ジャクソンが1995年に発表した「Earth Song」は、ポップソングというよりも一篇の祈祷文に近い。森林破壊、戦争、動物虐殺、貧困——彼のディスコグラフィの中でもっとも怒りに満ち、もっとも声明的な作品でありながら、商業的にも『HIStory』時代を代表する世界的ヒッ…
JAY-Z FT. ALICIA KEYS · 2009
NEW YORK, USA
2009年、ニューヨークが自分自身を歌い直すために選んだ曲。Jay-Zの語りとAlicia Keysのピアノが、ブルックリン育ちの一人の男の自伝を、都市そのものの讃歌へと押し上げた。9.11後の傷とリーマンショック後の不安を抱えたまま、ニューヨークは「それでもここはコンクリートの…
METALLICA · 1991
1991年8月、メタリカは黒いジャケットに身を包んだ5枚目のアルバムを世に放った。その先陣を切ったのが「Enter Sandman」である。子守唄と悪夢、無垢と恐怖、就寝前の祈りと闇からせり上がってくるもの——この曲は、アメリカのスラッシュメタルが初めてアリーナの天井を突き破り、…
THE POLICE · 1983
一行で言うと: 世界中で結婚式の定番曲として愛されているこのバラードは、実は別れた相手を執拗に監視し続けるストーカーの歌である。…
THE POLICE · 1981
1981年、ザ・ポリスが頂点に駆け上がる直前に放たれたこの曲は、片想いの臆病と恍惚を、レゲエでもパンクでもない、軽やかに弾むポップとして結晶化した。スティングが10年近くも引き出しに眠らせていたデモは、モントセラトの陽光のもとで生まれ変わり、世界中のラジオから流れ出した。一見する…
BACKSTREET BOYS · 1997
1997年、Backstreet Boysが世界に向けて放った宣戦布告にして、90年代後半のポップ・カルチャーを定義する一曲。グランジが疲弊し、エレクトロニカが台頭する狭間で、5人組の白人ボーイズグループはあえて「帰還」を宣言し、ハロウィン的なゴシック・ホラーの意匠をまとって踊っ…
METALLICA · 1984
1984年、メタリカは2作目『Ride the Lightning』のなかで、それまでスラッシュメタルというジャンルが踏み込まなかった領域に足を踏み入れた。「Fade to Black」は、アコースティック・ギターの静謐な弧から始まり、絶望の自問自答を経て、最後には怒涛のツインリ…
JOURNEY · 1983
ツアーバスの窓に映る街の灯と、遠く離れた恋人の顔。Journeyの「Faithfully」は、ロックスターという華やかな職業の裏側にある孤独と、それでも繋がり続けようとする誠実さを描いた1983年の名バラードである。キーボーディストのJonathan Cainがネブラスカ州のモー…
RADIOHEAD · 1995
OXFORD, UK
1995年、Radioheadは2作目のアルバム『The Bends』で「Creep」のバンドから飛躍を遂げた。その中核に置かれたバラード「Fake Plastic Trees」は、消費社会に擦り減らされていく人間の疲労を、アコースティックギターと弦楽の静かな高揚で描く。プラスチ…
COLDPLAY · 2005
2005年、Coldplayの3rdアルバム『X&Y』に収められた一曲は、グリーフ(喪失)の音楽史において稀有な位置を占めている。教会オルガンの厳粛な静寂から始まり、ギターのアルペジオがゆっくりと立ち上がり、最後にはスタジアム規模の合唱へと膨張していくこの楽曲は、慰めという感情を…
STAN GETZ & JOÃO GILBERTO · 1964
IPANEMA, RIO DE JANEIRO, BRAZIL
1964年、ニューヨークのスタジオで録音されたボサノヴァの一曲が、世界で最もカヴァーされた楽曲のひとつとなり、日本人の音楽観をも静かに塗り替えた。「イパネマの娘」は、リオの海辺のスケッチであると同時に、戦後日本が「都市の余白」を発見していくサウンドトラックでもある。なぜ昭和の喫茶…
THE ROLLING STONES · 1969
1960年代の終わり、世界が祝祭から幻滅へと滑り落ちていくその瞬間を、ローリング・ストーンズは一曲のロックンロールに封じ込めた。ベトナム、暗殺、暴動、そしてオルタモントの惨劇——「Gimme Shelter」はその全てを背負った嵐の予言である。半世紀以上を経てなお、この曲が鳴り出…
SEX PISTOLS · 1977
LONDON, UK
1977年、エリザベス女王即位25周年(シルバー・ジュビリー)に沸くイギリスで、Sex Pistolsは国歌と同じタイトルの曲を放った。失業率と階級格差に苛立つ若者の代弁として、それは「国家への呪詛」とも「最も誠実な愛国歌」とも読まれてきた。テムズ川を遊覧船で航行しながら演奏した…
BRUNO MARS · 2010
2010年10月、ブルーノ・マーズはデビューアルバム『Doo-Wops & Hooligans』からの2枚目のシングルとして「Grenade」を発表した。手榴弾を受け止め、列車の前に飛び込み、刃の前に体を投げ出してでも相手を守るという過剰なまでの献身を、グロッケンシュピールの澄ん…
MICHAEL JACKSON · 1991
これは「世界平和」を歌った優しいバラードであると同時に、マイケル・ジャクソン本人が「自分の人生で最も誇りに思う作品」と語ったとされる、彼の慈善活動そのものを音楽にした宣言文だ。…
ADELE · 2015
2015年の秋、世界中のスマートフォンに同じ電話の呼び出し音が鳴り響いた。Adeleの「Hello」は、別れた恋人への一本の電話という古典的なモチーフを、デジタル時代の孤独と和解の儀式へと変えた稀有な楽曲である。失われた時間を取り戻すことはできないが、それでも声を届けようとする—…
DAVID BOWIE · 1977
BERLIN, GERMANY
冷戦下のベルリンで録音された「Heroes」は、壁の影で抱き合う恋人たちをわずか一日だけの「英雄」として描く、デヴィッド・ボウイ最大の逆説的アンセムである。希望の歌として誤読され続けながら、その実、引用符付きの「"Heroes"」というタイトルが告げるのは、永続しない瞬間の美しさ…
JIMI HENDRIX · 1966
1966年12月16日、ロンドンの片隅で世に出た一枚のシングルが、ロック史の地殻変動の起点となった。「Hey Joe」はジミ・ヘンドリックスのデビュー作であり、フォーク・トラディションに根ざした殺しのバラードを、エレクトリックな霊性へと書き換えた怪物的なカヴァーである。彼のギター…
THE BEATLES · 1968
"Hey Jude, don't make it bad. Take a sad song and make it better."…
RADIOHEAD · 1995
1995年、まだ「Creep」のバンドと呼ばれていたレディオヘッドが、二枚目のアルバム『The Bends』の中で放った、奇妙なまでに素直なバラード。バンド自身が後年「嫌いだ」と公言したこの曲は、皮肉なことに、彼らの楽曲の中で最も多くの人の青春に寄り添い続けてきた。本稿では、捨て…
DEEP PURPLE · 1972
1971年、英国からスイスへ向かう高速道路を走るツアーバスの中で、ファンに「どうやって曲を作るのか」と問われたDeep Purpleは、その場でギターをかき鳴らし即興のリフを返した。それが世界最速のロックの幕開けだった。『Machine Head』の冒頭を飾るこの曲は、ハードロッ…
AC/DC · 1979
一行で言うと: 悪魔崇拝の歌ではない。長距離ツアーで疲弊しきったロックバンドが「俺たちの生活、まるで地獄行きハイウェイだな」と自嘲した、現場感丸出しの労働歌である。…
EAGLES · 1976
CALIFORNIA, USA
「アメリカン・ドリームの行き過ぎ、過剰、そこから抜け出せなくなる感覚を歌った」…
MICHAEL JACKSON · 1983
LOS ANGELES, USA
きらびやかなダンスナンバーが並ぶ『Thriller』の中で、これだけは夜の都会にそっと差し込む静かな告白。「なぜ自分はこうしてしまうのか」という、人間の弱さと衝動を責めずに見つめた一曲です。…
THE KILLERS · 2008
ラスベガス出身のロックバンド、ザ・キラーズが2008年に放った「Human」は、80年代シンセポップへの大胆な回帰でありながら、ハンター・S・トンプソンの一節「我々は人間として踊っているのか、それともダンサーとして踊っているのか」を起点に、現代人のアイデンティティの揺らぎを問う哲…
BACKSTREET BOYS · 1999
1999年、世紀末の不安をきらめくハーモニーで包み込んだ、ボーイバンド史上最も完璧で最も意味不明な失恋ソング。歌詞の文法的矛盾は批評家を苦しめたが、それこそが世界が求めた「完璧さ」の正体だった。ポップミュージックが「意味」よりも「響き」を選んだ瞬間として、今も再評価され続けている…
THE JACKSON 5 · 1969
DETROIT, USA
これは「フラれた側」の歌だ。彼女を手放したことをようやく後悔し、もう一度やり直してくれと必死に頼み込む——その切実さを、まだ11歳の少年が信じられない説得力で歌い上げた、ポップス史上もっとも完璧なデビュー曲のひとつ。…
THE JACKSON 5 · 1970
11歳のマイケル・ジャクソンが歌った、恋人への甘いラブソング…と思いきや、その本質は「いつでも駆けつける」という揺るぎない献身の誓い。だからこそ恋人にも、家族にも、悲しむ誰かにも刺さる、世代を超えた「そばにいるよ」の決定版になった。…
JOHN LENNON · 1971
"Imagine there's no heaven, no hell below us, no countries, no religion, no possessions."…
BEYONCÉ · 2006
2006年、ビヨンセが放った「Irreplaceable」は、別れの儀式をポップソングに変えた稀有な一曲である。Ne-Yoとスターゲイトによる作詞作曲は、当初カントリー曲として書かれた骨組みを、アコースティック・ギターのアルペジオに乗せたR&Bへと変換し、世界中の女性にとっての解…
BON JOVI · 2000
2000年、新世紀の入口でBon Joviが放った「It's My Life」は、80年代の遺物と見なされかけていたバンドを甦らせただけでなく、ミレニアム世代の自己決定のアンセムとなった。表面はシンプルな反抗歌だが、その裏には90年代の喪失、Frank Sinatraの影、そして…
THE NOTORIOUS B.I.G. · 1994
BROOKLYN, USA
: 1994年、ブルックリンの片隅から世界へ。The Notorious B.I.G.のデビュー曲「Juicy」は、貧困から成功への階段を、皮肉でも卑屈でもなく、ただ淡々と「事実」として語った稀有なヒップホップ曲である。サンプリングはMtumeの「Juicy Fruit」、プロデ…
VAN HALEN · 1984
: 1984年、ハードロック・バンドの代名詞だったヴァン・ヘイレンが、突如としてシンセサイザーを前面に押し出した「Jump」をリリースし、全米1位という栄光と同時にバンド内部に亀裂を生んだ。エディ・ヴァン・ヘイレンのギター神話と、デヴィッド・リー・ロスのショーマンシップが衝突した…
BRUNO MARS · 2010
2010年、ハワイ出身の若き歌手ブルーノ・マーズがデビュー・アルバム『Doo-Wops & Hooligans』の冒頭に据えた一曲。恋人の容姿や笑い方をそのままで美しいと讃えるシンプルなラブソングが、世界中で1700万枚を売り上げる現象となった。なぜ「ありのままでいい」というメッ…
RADIOHEAD · 1997
1997年、世紀末を前にしたイギリスから届いた、奇妙な「カルマ警察」の歌。社内ジョークから始まったこの曲は、いつの間にか監視社会と自己崩壊の寓話となり、四半世紀を経てなお、誰かを密告したくなる気分と、密告される側の恐怖の両方を同時に描き出している。Radioheadの『OK Co…
LED ZEPPELIN · 1975
1975年、Led Zeppelinが放った「Kashmir」は、実際に訪れたことのない土地への憧憬を、終わりなき行進のような8分間に封じ込めた異形の名曲である。モロッコの砂漠で着想され、カシミールという名を借りた幻想の旅は、ロックがオリエンタリズムと格闘した時代の象徴であり、同…
QUEEN · 1974
1974年、まだ「奇妙な四人組」と見なされていたクイーンを一夜にして英国ポップ界の頂点へ押し上げた一曲。フレディ・マーキュリーが「高級娼婦」を主人公にシャンパンとモエ・エ・シャンドンとマリー・アントワネットを並べたこの楽曲は、後のグラムロック、ヴィジュアル系、そして日本のシティポ…
ÉDITH PIAF · 1947
PARIS, FRANCE
戦争で傷ついたパリの街角で、150cmの小柄な歌手が口ずさんだ即興のメロディーが、20世紀でもっとも翻訳・カバーされたシャンソンの一つになった。「バラ色の人生」というタイトルは甘い恋愛賛歌のように聞こえるが、その裏には孤児院で育ち、路上で歌い、二度の世界大戦をくぐり抜けた女性の、…
DEREK AND THE DOMINOS · 1970
1970年、エリック・クラプトンが「親友の妻」への報われない恋情を、覆面バンド「デレク・アンド・ザ・ドミノス」名義で叩きつけた7分間の悲鳴。前半の七連打リフと後半のピアノ・コーダという二部構成は、ロック史上もっとも非対称で、もっとも傷を負った愛の構造体である。ジョージ・ハリスン、…
BILL WITHERS · 1972
SLAB FORK, USA
サマリ: ビル・ウィザーズが1972年に発表した「Lean on Me」は、ピアノの単音をなぞるだけのシンプルな旋律に、ウェストヴァージニアの炭鉱町で育った青年の記憶を封じ込めた一曲である。ソウルでもゴスペルでもブルースでもなく、それらが分かれる前の「人が人に肩を貸す」という最も…
MICHAEL JACKSON · 1989
一見すると恋人への別れの歌に聞こえるが、実は当時マイケルを追い回したタブロイド紙とゴシップ文化への痛烈な反撃ソング。自分を勝手に「奇人」に仕立て上げるメディアに「もう放っておいてくれ」と叫んだ、彼なりの皮肉と笑いに満ちた宣戦布告だ。…
DUA LIPA · 2020
LONDON, UK
: 2020年、世界がロックダウンで停止した瞬間に、Dua Lipaは「踊ること」を最も真剣な政治的・実存的行為として再定義した。"Levitating"は、ディスコの黄金時代のグルーヴを2020年代の孤独に向けて差し出した「希望のキャプセル」であり、ポップが現実逃避ではなく現実…
DAVID BOWIE · 1971
1971年、デヴィッド・ボウイが世に放った「Life on Mars?」は、退屈な日常に絶望した少女がスクリーンの向こうに別世界を求める、一見シンプルな物語だ。だがその裏には、フランク・シナトラの「My Way」原曲の権利を奪われた屈辱、ハリウッドの幻想産業への皮肉、そして地球そ…
BOB DYLAN · 1965
一行で言うと: かつて上流階級にいた女が転落して路上に放り出される——その姿を「どんな気分だ?」と6分間問い続ける、ロック史上もっとも有名な「ざまあみろソング」。…
OASIS · 1994
MANCHESTER, UK
1994年、マンチェスター郊外の公営住宅から生まれた一曲が、グランジに沈んでいた英国の若者たちに「生きる」という素朴な言葉を返した。「Live Forever」は、Oasisがデビューアルバム『Definitely Maybe』に刻んだ、ノエル・ギャラガーが書いた最初の本物のアン…
BON JOVI · 1986
一行で言うと: ストライキで仕事を失った若い労働者カップル、TommyとGinaが、それでも互いの手を握って「明日はなんとかなる」と祈るように生きていく——80年代アメリカの「下から目線」のアンセム。…
EMINEM · 2002
DETROIT, USA
一度きりのチャンスを掴むか、見送るか。デトロイトの寒い夜、トレーラーハウスから世界を変えようとした白人ラッパーが、自分自身の人生を投影した6分間の自己啓発書。それが「Lose Yourself」だった。映画『8 Mile』の主題歌として生まれ、ラップ史上初めてアカデミー賞主題歌賞…
TAYLOR SWIFT · 2008
2008年、ナッシュビルのカントリー界から放たれた一曲が、ティーンエイジャーの寝室の床で書かれた事実によって、ポップ史の地殻変動を引き起こした。シェイクスピアの悲劇を意図的に「ハッピーエンド」へ書き換えるという十代の蛮勇は、カントリーとポップの境界線、そして「恋愛ソング」というジ…
THE BEATLES · 1967
1967年、『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』の中盤に置かれたこの曲は、頭文字がLSDになることから長年「ドラッグ・ソング」として疑われ続けてきた。だが実態は、ジョン・レノンの息子ジュリアンが幼稚園で描いた一枚の絵から始まる、極めて個人…
MICHAEL JACKSON · 1987
世界を変えたいなら、まず鏡に映る自分を変えろ——マイケル・ジャクソン最大のメッセージソングは、実は彼自身が書いた曲ではなく、ソングライターの女性が紡いだ「内省から始まる革命」の賛歌だ。…
THE POLICE · 1979
1979年、ザ・ポリスのスティングが書き上げた孤独な男のSOS。だがその瓶は思いがけない応答を呼び込み、孤独の本質を反転させる。レゲエとパンクと白人のニューウェイヴが交差した瞬間に鳴ったこの曲は、コミュニケーション過剰な現代においてこそ、再び新しい意味を帯び始めている。…
THE JACKSON 5 · 1971
これは別れを切り出せない心の堂々巡りを描いた曲。終わらせるべきだと頭ではわかっているのに、口がさよならを言えない——その矛盾を、12歳のマイケル・ジャクソンが大人びた切なさで歌い上げた。…
RADIOHEAD · 1997
1997年、世紀末の不安と日常の倦怠が交差する地点で、レディオヘッドは子守唄のような旋律に静かな自殺願望を忍ばせた。グロッケンシュピールの愛らしい響きの裏で語られるのは、安全で予測可能な人生という名の緩やかな窒息である。「No Surprises」は反抗の歌ではなく、反抗すること…
BOB MARLEY & THE WAILERS · 1974
TRENCHTOWN, KINGSTON, JAMAICA
1974年、キングストンのスラム街トレンチタウンの記憶を、慰めと不屈の祈りへと昇華させた一曲。「泣かないで」という呼びかけの裏には、貧困、コミュニティの絆、そして音楽が政治になる瞬間がある。日本のリスナーにとっては、矢沢永吉の「黒くぬれ!」的な這い上がりの物語や、桑田佳祐が描く下…
METALLICA · 1991
スラッシュメタルの王者が、ツアー先のホテルで電話越しに恋人と話すために片手でアルペジオを弾いた——その私的なメモが、世界で最も再生されるバラードのひとつに化けた。ジェイムズ・ヘットフィールドが「絶対にメタリカの曲にはならない」と隠していた弾き語りを、ラーズ・ウルリッヒが偶然耳にし…
GUNS N' ROSES · 1991
9分弱のロックバラード、オーケストラ、結婚式と葬式、雨に濡れたピアノ。「November Rain」は、ハードロックバンドが自らの存続を賭けて作った大伽藍であり、Axl Roseが過去の恋人に捧げた長い手紙でもある。1991年、ロサンゼルスの享楽の終わりを告げた、ロック史上もっと…
MICHAEL JACKSON · 1979
LOS ANGELES, USA
子役スターからソロのアーティストへ。重荷を脱ぎ捨てて夜のダンスフロアに飛び込む解放宣言の一曲で、「壁を越えて自由になれ」というメッセージそのものがマイケルの独立宣言だった。…
U2 · 1991
1991年、ベルリンの壁崩壊から二年。解散寸前まで追い詰められたU2が、東西の境目が消えたばかりの街で偶然見つけた一曲。「One」は連帯の歌として世界中で歌われてきたが、その実態は決別の予感に満ちた、ひりつくような対話の歌である。ひとつになれるかもしれない、けれど同じではない——…
BRITNEY SPEARS · 2000
2000年5月、ミレニアムの祝祭ムードがまだ醒めやらぬ頃、ルイジアナ州ケントウッド出身の18歳が世界に向けて二度目の宣戦布告を行った。前作「...Baby One More Time」の超新星的爆発を「偶然ではない」と証明するために放たれたこの楽曲は、ティーン・ポップの定型を逆手…
JOURNEY · 1981
1981年、アリーナロックの絶頂期にあったジャーニーが世に放った「Open Arms」は、ハードロックバンドが書いたバラードとしては異例の到達点だった。スティーヴ・ペリーの声が、ロックの粗野さとブロードウェイ的な甘美さのあいだに新しい回廊を開き、80年代の「パワーバラード」という…
MICHAEL JACKSON · 1983
軽快なラブソングに聞こえるこの曲は、実はクインシー・ジョーンズとロッド・テンパートンが書いた歌詞をマイケルが歌い、コーラスでは妹のジャネット・ジャクソンの声がこっそり混ざっている、家族とプロのチームワークが結晶した一曲だ。…
THE ROLLING STONES · 1966
1966年、ロンドンのスタジオで生まれた「Paint It Black」は、ロックンロールに東洋の楽器シタールを持ち込み、悲嘆と虚無の感覚をポップミュージックの中心に据えた革命的な一曲だ。表面的にはドアーズ的なサイケデリアの先駆けに見えながら、その核には恋人を失った青年の、世界そ…
VAN HALEN · 1984
"Panama! Panama-ah!"…
GUNS N' ROSES · 1987
1987年、ロサンゼルスのストリップで擦り切れたバンドが、6分のロックアンセムに「楽園」という名の幻影を刻みつけた。芝生は緑で少女たちは美しい——その甘いリフレインの裏側には、インディアナの寒村から逃げてきた青年の郷愁と、80年代末アメリカの空洞が同居している。「Paradise…
RADIOHEAD · 1997
OXFORD, UK
1997年、オックスフォード郊外の貴族の館で録音された6分半の組曲は、90年代後半の不安と疎外感を結晶化させた。Radioheadの『OK Computer』を象徴するこの楽曲は、ロックの構造そのものを解体し、世紀末の予感を映し出した時代のサウンドトラックである。…
BLUR · 1994
LONDON, UK
1994年、サッチャー時代の残響がまだ消えないロンドンで、Blurは「英国人らしさとは何か」を皮肉と愛情で歌い上げた。アルバム『Parklife』のタイトル曲は、グランジ全盛の英米ロックシーンに対する大胆な反撃であり、Britpopという文化現象の宣言文だった。30年後の今、この…
STONE TEMPLE PILOTS · 1992
SAN DIEGO, USA
1992年、シアトルの陰鬱なフランネルが世界を覆い尽くしたその年に、南カリフォルニアの陽光のなかから現れた4人組がいた。Stone Temple Pilotsの「Plush」は、グランジの文法を借りながら、まったく別の場所——失踪事件の新聞記事と、ある男のささやかな苦悩——を歌っ…
LADY GAGA · 2008
2008年、リーマンショックで世界が凍りつく直前。マンハッタンのロウアー・イースト・サイドのクラブから、奇妙なシンセのフックと無表情の宣言を携えて、一人の女性がポップの版図を塗り替えた。「Poker Face」はディスコの陽気な仮面の裏で、欲望のジェンダー、賭場の心理学、そしてア…
JIMI HENDRIX · 1967
1967年、ロンドンの霧深い冬に生まれた一曲が、ロックギターの言語そのものを書き換えた。「Purple Haze」は、わずか2分50秒のなかに、ブルースの土壌から立ち上がるサイケデリアの蒸気、宇宙への憧憬、そして黒人ギタリストが白人ロックの中心で異邦人として鳴らす不協和音を封じ込…
BOB MARLEY · 1980
: 1980年、死を目前にしたボブ・マーリーがアコースティックギター1本で残した遺言のような楽曲。レゲエの王が最後に選んだのは、ドラムもベースもない、フォークソングの形だった。日本のリスナーにとっては、岡林信康や高田渡が歌い継いだ「うた」の精神、そして矢沢永吉が体現した「自分の足…
MICHAEL JACKSON · 1992
これは別れた相手に「俺たちの始まりを覚えているか?」と静かに問いかける、追憶のラブソング。そして音楽史に残るのは、古代エジプトを舞台にした豪華絢爛なショートフィルムだった。…
MICHAEL JACKSON · 1979
1979年、まだ21歳のマイケル・ジャクソンが『Off the Wall』に収めた一曲。ロッド・テンパートンが書き、クインシー・ジョーンズがプロデュースしたこのミディアム・グルーヴは、ディスコの終焉期にあって「踊る」という行為を、汗ばんだフロアからベッドルームの薄明かりへと密やか…
THE POLICE · 1978
PARIS, FRANCE
1978年、パリの薄暗いホテルの一室で生まれた一曲が、無名のトリオを世界的スターへと押し上げた。「Roxanne」は娼婦に恋した男の片想いをタンゴのリズムに乗せて歌った、奇妙で美しいパンク以降のラブソングである。レゲエとパンクと文学が交差するその3分間に、70年代末ロンドンの不安…
THE ROLLING STONES · 1965
1965年、フロリダのモーテルで眠っていたキース・リチャーズが、夢の中で聴いたファズ・ギターのリフを枕元のテープレコーダーに吹き込み、再び眠りに落ちた。翌朝再生された数十秒の断片は、20世紀後半のポピュラー音楽の地形を書き換える発火点となる。テレビ、広告、消費社会への倦怠を5分弱…
ADELE · 2011
2011年、アデルはセカンドアルバム『21』で世界を席巻した。その中の1曲「Set Fire to the Rain」は、雨と炎という相反するイメージを衝突させ、失恋の痛みを浄化へと転化させるバラードである。本稿では、この楽曲がなぜ単なる失恋ソングを超え、ポスト・リーマンショック…
TAYLOR SWIFT · 2014
2014年、テイラー・スウィフトはカントリーの少女から完全なポップスターへと脱皮した。「Shake It Off」はその宣言文であり、同時に、ソーシャルメディア時代の自己防衛マニフェストでもある。陽気なホーンセクションの裏側で、彼女は自分を消費しようとする視線そのものを軽やかに振…
THE JACKSONS · 1979
これは「踊ろう」と誘う単純なディスコ曲ではない。心を閉ざした相手に、言葉ではなく身体ごと飛び込んでこいと迫る、口説きと解放のアンセムだ。しかもこの大ヒットは、まだ十代だった末弟ランディが寝室で書いた習作から生まれたと言われている。…
LADY GAGA & BRADLEY COOPER · 2018
映画『アリー/スター誕生』の中核を担うデュエットであり、その年のポップカルチャーを丸ごと飲み込んだ楽曲。アコースティックの素朴な問いかけから始まり、サビでスタジアム規模の咆哮へと跳ね上がる構造そのものが、「浅瀬で安住するか、深みへ飛び込むか」という人生の選択を音響的に再現している…
ED SHEERAN · 2017
2017年初頭、エド・シーランがアルバム『÷(Divide)』からの先行シングルとして放った「Shape of You」は、マリンバの粒立ったループとダンスホール由来のシンコペーションを軸に、ポップ・ミュージックの「身体性」を再定義した楽曲である。当初はリアーナへの提供を意図して…
BEYONCÉ · 2008
2008年末、ビヨンセが世に放った「Single Ladies (Put a Ring on It)」は、結婚指輪を要求する女性の宣言という表層の下に、ポスト・フェミニズムの矛盾と黒人女性のセルフ・エンパワーメントを織り込んだ三分二十秒のマニフェストだった。白い背景に黒いレオター…
ADELE · 2012
アデルが歌った第23作ジェームズ・ボンド映画の主題歌は、シリーズ50周年というメモリアルイヤーに、過去への回帰と終末の予感を同時に響かせた異例の作品だった。シャーリー・バッシーの黄金期を蘇らせるオーケストレーション、ロンドンの霧のように低く垂れこめる弦楽、そして崩落の比喩で全てを…
NIRVANA · 1991
一行で言うと: 退屈と怒りに飽きた90年代のティーンエイジャーが、意味のある言葉では何も言えないと悟り、ただ叫ぶしかなくなった瞬間の歌。Kurt Cobainは「世代の代弁者」になることを最も嫌った男なのに、この曲が彼をそれにしてしまった。…
DEEP PURPLE · 1972
MONTREUX, SWITZERLAND
一行で言うと: 1971年12月、スイスのモントルーでフランク・ザッパのコンサート中に火事が起き、レマン湖に煙が立ち込めた——その実話をそのまま歌にしたのが「Smoke on the Water」である。…
MICHAEL JACKSON · 1987
軽快なダンスナンバーに聞こえるけれど、歌の中身は「アニーという女性が部屋に押し入った何者かに襲われた」という事件現場の描写。マイケルが心配しながら「アニー、無事なのか?」と問いかけ続ける、緊迫したサスペンスの曲です。…
OASIS · 1995
1995年4月、Oasisが初めてUKシングルチャート1位に到達した瞬間を刻んだ曲。荒削りなギターの壁、ノエル・ギャラガーが書いた寓話的なリフレイン、そして「言いたいやつには言わせとけ」という諦観と挑発の入り混じった態度――それは、サッチャー以後の英国で「労働者階級の希望」がよう…
QUEEN · 1976
: 1976年、フレディ・マーキュリーがゴスペルの神々しさとロックの轟音を融合させて生み出した「Somebody to Love」は、孤独な魂が天に向かって「誰か愛をくれ」と叫ぶ祈りの歌である。アレサ・フランクリンへの偏愛から生まれたこの曲は、後楽園球場でクイーンを神格化した19…
THE KILLERS · 2004
LAS VEGAS, USA
ラスベガス出身の四人組が放った2作目のシングルは、ニューウェイヴの亡霊をゼロ年代の踊り場に呼び戻した。シンセサイザーの硬質なリフ、跳ねるベース、そしてジェンダーの境界を曖昧に滑っていくサビ。「Somebody Told Me」は、インディーロック・リバイバルの号砲であると同時に、…
ADELE · 2011
ピアノとボーカルだけで世界中のチャートを制圧した、2011年最大の「静かな事件」。失恋の歌に偽装した、自分自身への弔辞であり再生宣言。アデルがまだ22歳のときに書いたこの曲は、ポップミュージックが「派手さ」を競っていた時代に、剥き出しの感情がいかに強い武器になり得るかを証明した。…
BLUR · 1997
LONDON, UK
1997年、Blurは英国を席巻していた「ブリットポップ」の鎧を脱ぎ捨てた。その象徴が、わずか2分2秒、アルバムの2曲目に置かれた「Song 2」だ。元はパロディとして書かれた即興的な轟音が、皮肉にも彼らのキャリア最大のヒットとなり、スタジアム、スポーツ中継、ゲーム機の中で永遠に…
MICHAEL JACKSON · 2026
Antoine Fuqua監督、Jaafar Jackson主演の伝記映画『Michael』で流れる主要曲を時代別に整理し、それぞれの「本当の意味」を一文で解説します。…
DAVID BOWIE · 1969
1969年7月、人類が月面に到達するわずか数日前にリリースされた一曲が、宇宙開発という時代の最大の祝祭に冷ややかな影を落とした。デヴィッド・ボウイは、英雄的な宇宙飛行士ではなく、軌道上で連絡を絶ち、地球から永遠に切り離されていく男「トム少佐」を描いた。これは宇宙の歌であると同時に…
LED ZEPPELIN · 1971
「ある夜、暖炉のそばに座って、ペンを取った。何も考えていなかった。手が勝手に動いて、最初の数行が出てきた。"There's a lady who's sure all that glitters is gold..."(光るものすべてが金だと信じている女性がいる)」…
EMINEM · 2000
DETROIT, USA
2000年、デトロイト出身の白人ラッパーが、架空のファンレターをそのまま曲にした。手紙を書き、返事を待ち、絶望し、最後には恋人を車のトランクに乗せて橋から落ちる男の物語。ヒップホップが「自分を大きく見せる音楽」だった時代に、エミネムは「自分を崇拝する誰か」の視点から自分を撃ち抜い…
DAVID BOWIE · 1972
1972年7月、BBCの音楽番組「Top of the Pops」に、肩を組み合うようにして歌う赤毛の異星人が登場した瞬間、英国の十代の何百万人もの人生が静かにねじれた。「Starman」はデヴィッド・ボウイがジギー・スターダストという架空の救世主を借りて放った、ポップ史上もっと…
OASIS · 2002
2002年、世紀の変わり目の高揚感が二日酔いの倦怠へと変わりかけていた時期に、Oasisは「泣くのをやめろ、心を泣ききるな」と呼びかける賛歌を投じた。これは『Heathen Chemistry』からの第二弾シングルであり、9.11後の世界が漠然とした喪失感に覆われていた瞬間、スト…
MICHAEL JACKSON · 1995
MOSCOW, RUSSIA
タイトルにモスクワとあるが、これはロシアの恋の歌ではない。スーパースターでありながら世界一孤独だった男が、人生のどん底で書いた「魂の漂流記」。誰にも理解されない疎外感を、見知らぬ異国の街角に立つ旅人の姿に重ねた、マイケルのキャリアで最も内省的な一曲だ。…
THE BEATLES · 1967
LIVERPOOL, UK
1967年2月、ビートルズが世に放った両A面シングルの片割れ。リバプール郊外にあった救世軍の児童養護施設の名前を冠したこの曲は、ジョン・レノンが子ども時代の庭の記憶を、サイケデリック・ロックという当時の最先端の音響実験で結晶化した一枚である。録音テープを逆回転させ、半音違うキーで…
U2 · 1983
DERRY, UK
1983年、まだ20代前半のアイルランド人四人組が、北アイルランド紛争という最も触れにくいテーマに、軍隊行進のスネアと祈りのギターで切り込んだ。「これは反抗の歌ではない」とボノはステージで何度も叫び続けたが、そのフレーズ自体が逆説的に、ロックが政治と距離を取ることの不可能性を突き…
STEVIE WONDER · 1972
SAGINAW, USA
サマリ: 1972年、22歳のスティーヴィー・ワンダーがモータウンとの再契約を勝ち取り、芸術的自律を手にして放った最初の弾丸が「Superstition」だった。クラヴィネットの粘り強いリフが告げるのは、迷信が幸福を遠ざけるという冷徹な啓示であり、ファンクの誕生と黒人音楽の自己決…
NEIL DIAMOND · 1969
1969年、ニール・ダイアモンドがメンフィスのアメリカン・サウンド・スタジオで録音した「Sweet Caroline」は、ホーン・セクションが炸裂する瞬間の高揚感によって、半世紀以上にわたりスタジアム、結婚式、そしてパブの夜を支配してきた。当初はビルボード4位の中ヒットに過ぎなか…
GUNS N' ROSES · 1987
一行で言うと: ハードロックの代名詞となったこの曲は、実はSlashが「ふざけて弾いた指ならし」のリフから生まれた、Axl Roseが恋人への愛を素直に綴った珍しいラブソングである。…
THE ROLLING STONES · 1968
1968年、世界が燃え上がりつつあった夏。ザ・ローリング・ストーンズはサンバのリズムに乗せて、悪魔に一人称で語らせるという前代未聞の楽曲を放った。「Sympathy for the Devil」はゴシップソングでもオカルト遊びでもなく、人類史の暴力と欺瞞を直視するための鏡として、…
EAGLES · 1972
WINSLOW, ARIZONA, USA
1972年5月、無名に近かったロサンゼルスのバンドEaglesがデビューシングルとして放った「Take It Easy」は、ベトナム戦争の泥沼とヒッピー文化の終焉のあいだで疲弊したアメリカに、軽やかな西部の風を吹き込んだ。Jackson Browneが書きあぐねた未完の歌詞をGl…
ERIC CLAPTON · 1992
1991年3月、エリック・クラプトンは4歳の息子コナーをマンハッタンの高層アパートの窓から失った。翌年に発表された「Tears in Heaven」は、悲しみを商品化せずに語ることができるのかという問いに、アコースティック・ギターの静けさで答えた稀有な楽曲である。喪失の歌でありな…
JANET JACKSON · 1993
派手なダンスナンバーで知られたジャネットが、あえて声をひそめて「恋に落ちる瞬間の心地よい降伏」を描いた曲。力を抜いた囁きこそが、彼女の新しい大人の自由の宣言だった。…
SIMON & GARFUNKEL · 1969
NEW YORK CITY, USA
「The Boxer」は、ニューヨークの片隅でうずくまる無名の若者の独白と、リング上で打ち続けられても立ち上がるボクサーの幻影を重ねた、1969年のフォーク・ロックの金字塔である。ポール・サイモンが自身の評論家への怒りと、世代の幻滅を織り交ぜながら書いたこの曲は、約100時間のス…
MICHAEL JACKSON · 1982
20世紀を代表する二大スターが、一人の女性をめぐって笑顔で言い争う「世界一豪華なケンカ」。実は深刻なラブソングではなく、肩の力を抜いたユーモアと友情がにじむデュエットなのです。…
BRUCE SPRINGSTEEN · 1980
1980年、ブルース・スプリングスティーンが世に放った二枚組『The River』のタイトル曲は、若くして大人にならざるを得なかった労働者階級の青年の独白である。ハーモニカの寂しい音色とともに語られるのは、川辺の記憶、予期せぬ妊娠、そして「夢が嘘になるのか、それとも嘘よりひどい何…
SIMON & GARFUNKEL · 1964
1964年にひっそりと発表され、当初は商業的に失敗作と見なされた一曲が、エレクトリック・ギターとドラムを後から重ねるという奇策によって突如全米1位へと駆け上がる。沈黙の中で語り合うことを忘れた群衆を描いたこの曲は、テレビが家庭に行き渡り、ケネディ暗殺が国民の精神に影を落とした時代…
MICHAEL JACKSON · 1987
一見すると軽快なナンパソングだが、その正体は「断られても引き下がらない男のしつこいほどの求愛」を陽気なシャッフルビートに包んだ、マイケルなりの遊び心あふれる恋の劇場である。…
MICHAEL JACKSON · 1995
ポップの王様が初めて怒りをむき出しにした抗議歌。差別、警察暴力、メディアによる断罪——「あいつらは俺たちのことなんてどうでもいいんだ」と、社会から踏みつけられる側の声を代弁した一曲です。…
ED SHEERAN · 2014
2014年、エド・シーランは赤毛のアコースティック青年として知られていたが、この一曲で「現代のソウル・バラード作家」へと階段を一段昇った。「Thinking Out Loud」は、老いと時間という、ポップスがあまり正面から扱わない主題を、70年代のソウル/カントリーの語法で甘く包…
MICHAEL JACKSON · 1982
ゾンビが踊るホラー映画のような楽曲だが、その正体は「恐怖」を口実にして好きな人にぴったり寄り添うための、ちょっとお茶目なラブソング。怖がらせて抱きしめる――それがこの曲の本当の狙いだ。…
BRUCE SPRINGSTEEN · 1975
ニュージャージーの小さな町の網戸が、ハーモニカの一吹きで揺れる。「Thunder Road」は1975年の名盤『Born to Run』の幕開けを飾る曲であり、ロックンロールが「逃走」というアメリカ的なテーマをどこまで詩に変えられるかを示した分水嶺である。それは恋人への口説き文句…
AC/DC · 1990
1990年、AC/DCはバンド史最大の危機を脱したあとで『The Razors Edge』をリリースし、その冒頭を飾る「Thunderstruck」はロックの歴史で最も中毒性の高いイントロのひとつとなった。アンガス・ヤングの指が紡ぐあの上昇音型は、単なるリフではなく、復活と通過儀…
PINK FLOYD · 1973
目覚まし時計の轟音で幕を開けるこの曲は、ロック史上もっとも有名な「時間についての警句」である。ピンク・フロイドが1973年の『狂気』(The Dark Side of the Moon) に収めた本作は、若き日に「いつかやろう」と先送りしてきた者が、ある日ふと気づくと太陽が背後に…
JANET JACKSON · 1997
きらびやかなダンスフロア・アンセムに聞こえるこの曲は、実はエイズで亡くなった親しい友人たちへの追悼歌。「また会える」という言葉は別れの嘆きではなく、いつか天国で再会できると信じる祈りであり、悲しみを踊りに変えた喪のかたちだ。…
BRITNEY SPEARS · 2003
2003年、ブリトニー・スピアーズが放った「Toxic」は、ボリウッド由来の弦の引きずり、サーフギターのうねり、そしてシンセの煙幕を一つの薄い注射針に集約したポップの実験だった。中毒という比喩を恋愛から逸脱させ、ポップそのものの構造に向けた一曲。グラミー受賞、ミーム化、ティックト…
QUEEN & DAVID BOWIE · 1981
1981年7月、スイス・モントルーのスタジオで偶然始まったジャムセッションが、20世紀ポップ史に残る二大アイコンの邂逅を生んだ。冷戦末期の不安と都市生活の窒息感を、ジョン・ディーコンの単純なベースラインに乗せて吐き出した「Under Pressure」は、プレッシャー社会を生きる…
MARK RONSON FT. BRUNO MARS · 2014
2014年末、ストリーミング時代の幕開けと共に世界を席巻したのが、英国人プロデューサーMark Ronsonとハワイ出身のスーパースターBruno Marsによる「Uptown Funk」だった。1980年代のミネアポリス・ファンクとP-Funkを現代の録音技術で蘇らせ、グローバ…
DON MCLEAN · 1971
1971年、ドン・マクリーンは『American Pie』のB面ともいうべき位置に、フィンセント・ファン・ゴッホへの静かな鎮魂歌を置いた。アコースティックギター一本と弦楽のため息だけで描かれたこの曲は、ロックの饒舌な時代にあって「沈黙の肖像画」として孤立し、半世紀を経たいまも、誤…
JIMI HENDRIX · 1968
1968年、ニューヨークのレコード・プラント・スタジオで深夜に録音されたこの15分のジャム・セッションは、エレクトリック・ギターという楽器の限界を地球外まで押し広げた。ジミ・ヘンドリックスは「ヴードゥー・チャイルド」で、ブルースの土壌からサイケデリックな宇宙までを一本のストラトキ…
MICHAEL JACKSON · 1983
史上最も売れたアルバム『Thriller』の幕開けを飾るこの曲は、踊れるファンク・ダンスナンバーに見せかけて、実は陰口・噂・他人の人生を勝手に消費するメディア社会への怒りを叩きつけた歌。あの中毒性のあるアフリカ語コーラスは、もともと別人の曲に由来している。…
BON JOVI · 1987
ニュージャージー出身の若者たちが、80年代アメリカのアリーナを満杯にしながら、なぜ自分たちを19世紀の無法者ガンマンになぞらえたのか。『Wanted Dead or Alive』は、グラム・メタル全盛期のただ中で書かれた「ロック・ミュージシャン版ウェスタン」であり、ツアー生活の孤…
QUEEN · 1977
1977年、パンクが「ロックスター神話を殺せ」と叫んでいた最中に、クイーンは敢えて荘厳なアンセムを放った。勝利と挫折の両方を抱きしめるこの曲は、サッカースタジアムから卒業式まで、半世紀にわたって「人間の連帯」のサウンドトラックであり続けている。後楽園球場の歓声、武道館の余韻、サザ…
QUEEN · 1977
1977年、Queenが「観客が歌の一部になる曲」を発明した。足踏み2回、手拍子1回——たったこれだけのリズムが、スタジアムを「神殿」に変え、サッカーの応援歌から日本のプロ野球の球場まで、世界中の集団的高揚の語彙になった。後楽園球場の応援団も、武道館のロックファンも、無意識のうち…
GUNS N' ROSES · 1987
LOS ANGELES, USA
1987年、ロサンゼルスの裏路地から立ち上がった一曲のロックンロールは、80年代の華美なグラム・メタルに引導を渡し、ロックの「危険」を再起動させた。アクセル・ローズが歌う「ジャングル」とは、彼が初めてLAに降り立ったときの恐怖と興奮、そして都市が人を呑み込んでいく光景そのものだっ…
U2 · 1987
1987年、アイルランドの4人組が放った『The Joshua Tree』の幕開けを飾る一曲。冒頭の6/8拍子のオルガンが霧のように立ちのぼり、ディレイの効いたアルペジオが砂漠の地平線を描く。これは単なるロックアンソムではなく、北アイルランド・ベルファストの分断された街路に対する…
LED ZEPPELIN · 1969
1969年、レッド・ツェッペリンが世に放った「Whole Lotta Love」は、ブルースをハードロックへと変質させた瞬間の刻印である。ウィリー・ディクソンの古いブルースから生まれ、ジミー・ペイジのリフとロバート・プラントの咆哮、そしてエンジニアの偶然のミスから生まれた中間部の…
PINK FLOYD · 1975
1975年、Pink Floydが世界的成功の真っ只中で発表した『Wish You Were Here』は、不在の友、シド・バレットへの追悼であり、同時に音楽産業の冷たさへの抗議でもあった。タイトル曲は、アコースティック・ギターのざらついた音色と、ラジオから漏れ出すような遠さのな…
U2 · 1987
1987年、U2は『The Joshua Tree』というアルバムでアメリカの神話と砂漠の風景に踏み込み、その先頭打者として世界に放たれたのが「With or Without You」だった。エッジの無限音階のように伸びていくギター、ボノが囁き、絞り出し、最後には叫ぶ声。表向きは…
ERIC CLAPTON · 1977
パーティーに出かける前の、たった数分の出来事を描いた小さな歌。だが「Wonderful Tonight」は、エリック・クラプトンの私生活の修羅と、70年代後半のロックが向かった成熟という地殻変動を、奇妙なほど静かに記録している。ラブソングの皮をかぶった、ある男の依存と憧憬と諦念の…
OASIS · 1995
1995年、マンチェスター郊外で生まれた一曲が、世界中のパブの片隅、大学の寮、夜更けの公園で無数のアコースティックギターを鳴らし続けてきた。Oasisの「Wonderwall」は、Britpopの絶頂を象徴する讃歌でありながら、その実態は不確かさと依存と希望のあわいに揺れる、奇妙…
COLDPLAY · 2000
2000年6月、ロンドン郊外の小さなスタジオで、まだ無名だった4人組が録音した一曲が、世紀末の喧騒が静まりかけた英国ロックシーンに、奇妙に柔らかい衝撃を与えた。「Yellow」は、燃え盛る黄色ではなく、夜空に滲む頼りない黄色——星の光のような色を歌った曲だ。ギターのリフは単純で、…
THE BEATLES · 1965
一行で言うと: 恋人が去ってしまった理由がわからず、昨日に戻りたいと願う男の、たった2分間の独白。Paul McCartneyが夢の中で完成形のメロディを聴いて目を覚まし、ピアノに駆け寄って書き留めた、ポップス史上もっともカバーされた曲。…
MICHAEL JACKSON · 1995
一見すると純粋なラブソングだが、その核心は「どんなに離れていても、心はそばにいる」という遠距離の慰めの歌。そしてビルボード史上初めて、初登場で1位を獲得した記念碑的な楽曲でもある。…
BON JOVI · 1986
1986年夏、ニュージャージー出身の4人組が放った、わずか3分43秒のキラーチューン。冒頭のアカペラから雪崩れ込むギターリフ、そして「愛に泥を塗ったのはお前だ」と叫ぶサビ。これはハードロックが大衆の手元に降りてきた瞬間であり、MTV世代の感情の文法を書き換えた一曲だった。失恋を「…
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