SONGFABLE · 1978

Blame It on the Boogie

THE JACKSONS · 1978

TL;DR: 踊りたくて仕方ない男が「俺が悪いんじゃない、ぜんぶブギーのせいだ」と言い訳する、底抜けに陽気なディスコ・アンセム。そして実はこの曲、マイケル・ジャクソンとは別人の「マイケル・ジャクソン」が共作したという珍事つきの一曲。
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踊らずにいられないのは、誰のせい?

夜になると体がうずく。仕事も恋人も手につかず、足が勝手にステップを踏みはじめる。そんな自分を持て余した主人公が出した結論はシンプルだ——「俺のせいじゃない。サンシャインのせい、月明かりのせい、いい時間のせい、そしてなにより、ブギーのせいだ」。責任転嫁を歌っているのに、まったく後ろめたさがない。むしろ言い訳すること自体が踊りのリズムになっている。それが「Blame It on the Boogie」の魔法だ。

マイケルが2人いた曲

この曲には有名なトリビアがある。作曲者の一人が、なんと Mick Jackson(ミック・ジャクソン) というイギリス人シンガーソングライターで、本名は Michael George Jackson。つまり「マイケル・ジャクソンが書いた曲を、別のマイケル・ジャクソンが歌った」という偶然が起きた。ミックは自分でもこの曲をシングルとして出していて、1978年のイギリスでは The Jacksons 版とミック本人版がチャートで真っ向勝負をする「ブギー戦争(Boogie Wars)」と呼ばれる事態になったと伝えられている。

The Jacksons にとってこの時期は転換点だった。Motown を離れ、ジャクソン5から「The Jacksons」へと名を変え、自分たちで曲作りやプロデュースに踏み込みはじめた頃。アルバム『Destiny』に収められたこの曲で、彼らはディスコ全盛の空気を完璧に掴んでみせた。日本でも70年代末のディスコ・ブームと重なり、フロアの定番として長く愛され、後年は缶コーヒーや家電のCMなど、明るさが必要な場面で繰り返し引っぱり出されてきた。

「ブギーのせい」という名言の中身

歌詞が描くのは、自制心を失った一人の人物だ。彼はリズムに取り憑かれ、踊りを止められない。けれどそれを反省するのではなく、太陽や月、楽しすぎる時間といった「外の要素」に責任をなすりつけていく。最終的にすべての元凶として名指しされるのが「ブギー」——つまり踊りそのものだ。

これは一種のユーモアであると同時に、踊ることの解放感への賛歌でもある。理屈で抑え込もうとしても、音楽の前では人間は無力。だったら抗わずに身を委ねてしまえ、という肯定のメッセージが、軽やかなファルセットとタイトなファンク・グルーヴに乗って届けられる。重さゼロ、後悔ゼロのこの開き直りこそが、聴く人を笑顔にする。

時代を超えたパーティーの合言葉

ディスコは80年代に一度「時代遅れ」のレッテルを貼られたが、「Blame It on the Boogie」のような曲は生き残った。理由は単純で、人を踊らせる力が普遍的だからだ。結婚式、運動会、企業の懇親会——ジャンルや世代を問わず、この曲が流れると場の空気が一段明るくなる。マイケル本人のソロ・キャリアが伝説化したあとも、ファミリーとしての The Jacksons の魅力を伝える代表曲として、この一曲は確かな位置を占め続けている。

今も色あせない理由

現代は、自己責任や反省を強く求められる時代だ。だからこそ「全部ブギーのせい」と笑い飛ばすこの曲の軽さが、逆に効く。完璧でなくていい、今夜くらいは理屈を捨てて体を揺らしていい——そんな許しを、この曲はリズムとともに差し出してくれる。ストレスの多い一日の終わりに鳴らせば、責任の重さがふっと軽くなる。半世紀近く前の曲とは思えないほど、今の私たちにちょうどいい処方箋だ。


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